サイバー関連の資金調達とM&Aが減少傾向も、ベンダーたちが楽観視しているワケCybersecurity Dive

Pinpointによると、ベンチャーキャピタルは2023年、潜在的な損失を最小限に抑えるために投資の基準を引き締める戦略へと移行した。その背景には何があるのだろうか。

» 2024年02月03日 08時00分 公開
[Matt KapkoCybersecurity Dive]

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Cybersecurity Dive

 転職エージェントのPinpoint Search Group(以下、Pinpoint)の2024年1月9日(現地時間)の報告によると、セキュリティベンダーへの資金供給は2023年に87億ドルまで減少し(注1)、2022年から40%減少した。

 セキュリティベンダーは合計で346件のラウンドで資金を調達しており、これは2022年から14%増加している。Pinpointによると、最大の投資カテゴリーであるシードラウンドは、2023年の資金調達取引の5分の2以上を占めた。

 資金調達の減少傾向は第4四半期まで続き、ベンダーの調達額は前年比45%減の16億ドルだった。2023年の資金調達額のピークは2月の約15億ドルだった。

セキュリティベンダーへの投資基準引き締め その背景とは

 2022年、セキュリティベンダーに割り当てられたベンチャーキャピタルの資金は減少したが、ラウンド数は増加した。このことは投資機関がこの業界を敬遠しているのではなく、潜在的な損失を最小限に抑えるために投資の基準を引き締めたことを示唆している。

 2023年を通じてこの業界を襲ったレイオフや(注2)、まだ具体化していない景気後退の懸念が組織の支出を遅らせたことなど、業界全体における複数のネガティブなトレンドが原因となり資金調達額が減少した。

 そのようなネガティブな見通しにもかかわらず、コンサルティング企業のIDCは「2023年に世界のセキュリティ支出は12%増加し(注3)、2190億ドルに達する。2026年には3000億ドル近くにまで成長する」と予想している。

 Pinpointによると2023年に最大の資金調達を実施したのは、SandboxAQやNetskope、Wiz、Cato Networksであった。

 M&Aの数も減少している。Pinpointが件数を追跡したところ、2022年には114件あったものが2023年には91件に減少している。これは約20%の減少である。

 Pinpoint Search Groupの創設者であり、マネージングパートナーでもあるマーク・サッソン氏は「全体としてセキュリティ分野の専門家は楽観的で、それには理由がある。この業界は2023年に大きな痛みを経験したが、セキュリティソリューションに対する需要は伸び続けている。この分野の専門家への影響は、投資家と創業者がいかに早く初期段階のイノベーションから成長へと移行できるかどうかにかかっている」と述べた。

(注1)2023 Cyber Security Vendor Funding Report(PINPOINT SEARCH GROUP)
(注2)Layoffs come for cybersecurity, too(Cybersecurity Dive)
(注3)Global cybersecurity spending to top $219B this year: IDC(Cybersecurity Dive)

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