リミニストリートが開始した第三者保守「Rimini Custom」はベンダー保守と何が違う?

Rimini Streetはこれまで提供してきたSAPやOracle、Salesforceのシステム向けサポートを超えた、新しいカスタムパッケージ「Rimini Custom」を開始している。ベンダーサポートと何が異なるのだろうか。

» 2024年05月15日 07時00分 公開
[Jim O'DonnellTechTarget]

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 SAPやOracle、Salesforceのサービスに向けて第三者保守サービスを提供しているRimini Street(リミニストリート)は、新しいカスタムパッケージ「Rimini Custom」の提供している。

 Rimini Streetは、企業向けアプリケーションの環境を評価し、その環境に合わせた管理サービスとソフトウェアサポートを提供する。Rimini Streetが提供するRimini Customの概要を把握しよう。

第三者保守ベンダーならではのサポート

 米国ラスベガスに本社を置き、2005年に設立されたRimini Streetは、SAPとOracleのシステム向けのサードパーティソフトウェアサポートを提供してきた。後に、SalesforceとAmazon Web Services(AWS)を追加した。

 Rimini Streetは2020年、これらの企業システム向けに管理サービスの提供を開始した。このサービスには、システムの実行や設定などの技術サービスや、システムを新たな地域に拡張したり、異なるインスタンスを統合したりするための専門サービスが含まれている。

 Rimini Streetのデビッド・ロウ氏(エクゼクティブ・バイスプレジデント)は、「Rimini Customは、従来のRimini Streetの製品群に含まれていない一連の企業向けアプリケーションを取り込むことで、ポートフォリオをさらに拡大したものだ」と述べた。

 Rimini Customの背景には、「顧客がさまざまなシステムによって構成されたIT環境を運用するコストと複雑さを軽減し、より価値の高いプロジェクトに集中できるようにする」という考えがある。

 ロウ氏によるとこのRimini Customは、顧客との連携後、Rimini Streetのコンサルタントが顧客のIT環境を把握し、アプリケーションをサポートできる可能性を評価し、その後、サポートと管理サービスの提案を提示することから始まる。Rimini Streetは、サポートされているシステムのリストを持っているが、この新しいサービスは、顧客がサポートを要求していないシステムも対象としている。

 「顧客が、MicrosoftやServiceNow、Inforなどの製品の管理を依頼してきた場合、それは特別なカスタマイズが求められるプロジェクトになる。プロジェクトを遂行するために、私たちは内部/外部リソースも活用することになるだろう。私たちは、3つの製品をまとめて管理するためのマネジャーやインフラストラクチャを確保している」(ロウ氏)

 Rimini Streetには5000以上の顧客がいる。ロウ氏によるとRimini Customは「サービスを求める顧客に最初に展開される。価格は顧客が求める内容により異なる」という。

環境の変化に対応する管理サービス

 調査企業であるConstellation Researchのレイ・ワン氏(アナリスト兼CEO)は「テクノロジーが急速に変化する中で、既存のIT環境を管理し、イノベーションに投資しなければならない時代において、Rimini Customは理にかなっている」と述べた。

 「SaaSは、簡単に契約でき、維持費が適切だと考えられていたが事実ではない。Rimini Customは、顧客がSaaSの支出を削減しようとしている適切なタイミングで提供された」(ワン氏)

 ワン氏によると、このようなサービスは以前から管理サービスプロバイダーによって提供されてきた。しかしプロバイダーは、顧客に最適なソリューションを提供することよりも、自社の利益の最大化を優先してきたため、顧客が得られるサービスの効果が薄まるケースがあった。

 「他のサービス企業は、Rimini Streetほど広い範囲で競争できないだろう」(ワン氏)

 調査企業であるTechnology Evaluation Centersのプレドラグ・ヤコヴリェビッチ氏(アナリスト)は「SAPやOracle、Salesforceのシステムの基盤を超えてサードパーティサポートやサービスを提供するというRimini Streetのアイデアは興味深い。しかし、同社がERPやCRMアプリケーションといった新しい領域全体に進出できるかどうかは未知数だ」と述べた。

 「Rimini Streetは、サードパーティサポートだけでなく、企業向けのマネージドホスティングも展開している。このような事業拡大の背景には、SAP、Oracle、Salesforceのシステムを使っている顧客に対するサービス提供の限界があるのかもしれない。しかし、事業拡大のために同社が、InforやEpicor、Syspro、Sageなどのアプリケーションの専門知識をどこから習得するのかは不明だ」(ヤコヴリェビッチ氏)

 ロウ氏によると、Rimini Streetには、新しいアプリケーションのサポートに移行するためのサポートインフラストラクチャや方法論、システムがあり、SAP、Oracle、Salesforce以外のさまざまなスキルセットを持つ約1000人のエンジニアが在籍している。社内リソースは、必要に応じて臨時雇用者で補強するようだ。

 「当社には、新しいリソースを見付けて導入して認定し、トレーニングするための独自のプロセスがある」(ロウ氏)

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