「第三者保守」を大規模システムに使うべき理由とは? 3つの事例から読み解く「小規模システムだけ」ではもったいない

SIerの人手不足などにより、「第三者保守は小規模システムや事業への影響が少ないシステムで利用するもの」というイメージを見直すべき時期が来ている。限られたIT予算からいかに「攻めの投資」を捻出するか。3つの事例から明らかにする。

» 2024年07月22日 10時00分 公開
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 大規模なオンプレミスシステムを抱える企業では、ハードウェアの保守・運用の負担とメーカーのサポート終了(End Of Support:EOS、End Of Service Life:EOSL)に伴う対応が大きな課題になっている。

 メーカーのサポートが終了すれば、ハードウェアが故障した場合に修理をメーカーに依頼できない。事業の根幹を支えるシステムの停止は企業に重大なダメージをもたらす。しかし、メーカーのサポート終了時期がユーザー企業にとってシステム更新に最適な時期とは限らない。こうした問題を解決するのが、システムのハードウェアに対する「第三者保守」だ。

大規模システム保守の課題

 ここでいう第三者保守とは、正規のメーカーや構築を担当したSIerに代わってオンプレミスシステムのハードウェアの保守を別の企業(第三者)に任せる運用形態を指す。

 企業がシステムを構築する際、システムのSIerはハードウェアメーカーからサーバなどの機器を購入して保守サービスを提供する。

 メーカーは通常5〜7年の製品サポート期限を設け、サポート終了後は機器の入れ替え(更改)を推奨する。ハードウェアが切り替わるタイミングでソフトウェアも新たにインストールする必要があり、大規模システムの更改にかかる費用は膨大だ。大規模システムを抱える企業のIT予算の大半は既存システムの保守や更改が占めており、攻めのIT投資は難しいのが実態だ。

 第三者保守の利用によって、メーカーサポートが終了した機器が故障しても第三者保守事業者が故障箇所を特定し、部品を交換することでシステムを動かし続けられる。メーカーが定めた更改時期を越えて使い続けられるので、ユーザー企業は自社のタイミングで機器を入れ替えられる。

photo データライブの山田和人氏(代表取締役)

 第三者保守の専業ベンダーであるデータライブの山田和人氏(代表取締役)は、第三者保守を利用するメリットを次のように語る。

 「第三者保守を利用してサーバの更改を3年延ばした場合、その費用を生成AIの導入やDXなどの攻めの投資に組み替えられます。IT予算の柔軟性を高められるとお客さまに評価していただいています」

第三者保守がIT予算に柔軟性を

 第三者保守は、これまで検証環境や小規模なシステムの部分的な保守に適用するケースが主流だった。しかしこれからは、事業活動の基盤となる大規模システムへの展開が期待されると山田氏は語る。

 「大規模システムを保有する中堅・大企業で、第三者保守のサービスを利用したことのある企業は多いものの、単発の利用ではメリットをしっかり認識できず、定着に至らなかったケースは珍しくなかったようです。しかし今、この認識が変わるような変化が起きています」

 大きな変化は、SIerの人手不足だ。

 「2年後にメーカーのサポートが終了するサーバ機器の更改を担当するエンジニアを、SIerがアサインできないといったケースが増えています。こういうときに第三者保守に切り替えて数年延長できれば、中長期的に大規模システムをどう運用すべきかをしっかり計画する時間が生まれます」

 第三者保守の利用はコスト削減やIT戦略を検討する期間の確保というメリットをユーザー企業にもたらすだけでなく、SIerの人手不足によって生じる問題の解消にもつながるというのが山田氏の持論だ。

SIerが認める保守品質を提供

 第三者保守は大規模システムでも一定の利用メリットがあるが、システムの保守・運用に関わる責任を負うSIerが第三者保守のサービス品質を認めなければユーザー企業が利用するのは難しい。

 しかし現在は、第三者保守の導入を後押しする環境が整いつつある。SIerにとってシステムの更新は大きな予算が動くビジネスチャンスだったが、SIerはシステム構築からソリューション販売に軸足を移しつつあると山田氏は言う。

 「かつてSIerには、第三者保守を否定する向きもありました。しかし人手不足やシステムの複雑化といった変化の中で、SIerにとって第三者保守事業者は『安全にシステム更改を成功させるための期間を確保する調整弁』になりました」

 その結果、ユーザー企業、SIer、第三者保守事業者の“三方よし”の構図が出来上がりつつある。

大規模システムで第三者保守を採用した3社の声

 大規模システムで第三者保守を利用している企業は、どのように自社の課題を解決しているのだろうか。

大手地方銀行

 ある大手地方銀行には複数の銀行が利用しているバンキングシステムがあり、データライブはその一部の保守を受け持っている。同行は新しいモバイルアプリケーションの開発を進めており、第三者保守によってサーバの更改を1回スキップしたことで新アプリの開発予算を上乗せできた。

大手証券会社

 ある大手証券会社のシステムは、国内ベンダーと海外ベンダーのサーバを複数組み合わせた複雑な構成だった。開発を担当したシステム子会社は、システム別に担当者を付けて各サーバを保守していた。管理方法がバラバラであることに加えてサーバの更改時期が相次いで訪れたことから、システム子会社はリソース不足に陥った。

 親会社である証券会社からのコスト削減要求をきっかけに、システム子会社はデータライブに延長保守を依頼した。結果として、コスト削減だけでなく各システムのライフサイクルをシステム子会社がコントロールできるようになり、システム開発に注力できるようになった。

ネット銀行

 あるネット銀行では、大規模システムのデータ保存に利用している大量のストレージ機器の保守期限が迫り、更改に多額のコストがかかることが判明した。

 ストレージの保守は専門的な技術が求められる難しい業務だが、データライブの第三者保守に切り替えることで大幅にコストを削減した。同行は、コスト削減で浮いた費用でセキュリティソリューションを新たに導入した。

第三者保守の大規模システム適用の肝は、保守品質と部品在庫

 なぜ多くの企業がデータライブを利用するのか。山田氏は、第三者保守事業者として顧客の信頼を得るカギは保守品質と部品の在庫だと話す。

 「保守品質というと一般的には障害対応の品質、つまり障害が発生してから何時間で修理を完了させるとか、一度の出動で復旧させるといったことを思い浮かべると思います。一般の保守会社がやっているこれら項目は第三者保守にとっても、当然やらなければならない項目です。加えて、契約対象機器の構成部品をすべて用意する、部品の検査精度を向上させる、故障箇所に対して正しい部品が選択されるようにひも付けするなど、本来メーカーがやるべき項目も対応しなければなりません。ましてそれをマルチベンダーで行うとなると、その取り組み範囲は広大です。それらを高品質に仕上げるとなると保守専業にならざるを得ないのです」

 山田氏は、特に部品在庫を「データライブの強み」と言い切る。

 「大規模システムの更改は大きなプロジェクトです。そのため、お客さまはシステムを更改するか延長稼働させるか、1年前から半年前くらいまでには方針を決定する必要があります。サーバが壊れた場合に備えて、メーカーが提供できない部品をデータライブが確実に用意できると保証できなければいけません。『今は部品が手元にありませんが、必ず用意します』では通用しません。その点で、当社の部品の圧倒的な在庫が、お客さまに安心していただくための基盤になっています」

 同社は、10000種類以上のサーバ本体に対応する90万点以上の部品在庫を、埼玉県久喜市にある巨大な倉庫「関東ストックセンター」に常に保有している。

 「第三者保守事業者が中古部品の販売事業も手掛けている場合、保守に使える在庫は限定的です。当社は第三者保守専業の事業者として、仕入れた部品は全て在庫として保持しています」

 集めた中古部品に対して厳格な動作テストを実施するだけでなく、部品同士の互換性情報もデータベースに蓄積している。機器のメーカーが異なっていても使われている部品は共通する場合があるため、データライブは互換性を詳細に調査して機器が動作すると保証できるものだけを「互換性あり」としている。

 「互換性の確認に当たって、“相性”といわれるような曖昧さは許容していません。部品の構成要素一つ一つをチェックして、完全に同じものだけを互換性がある部品として修理に使用します。そうしなければ、お客さまのミッションクリティカルなシステムを支える保守は実現できないからです」

 延長保守を検討していたあるユーザー企業は、使っている機器の部品を保管している事業者がなかったため、諦めかけていた。しかしデータライブに在庫があることを知り、保守を依頼したという。

大規模システムでこそ大きい第三者保守のメリット

 第三者保守の活用により、ハードウェアの保守期限を延ばすことでIT予算の使い方に柔軟性が生まれる。その結果、DXに対応する攻めのIT投資に向けて限られた予算を機動的に振り分けることができる。このメリットは、予算規模が大きい大規模システムではさらに大きな価値を生むだろう。第三者保守はその強力な武器になるはずだ。

 山田氏は「お客さまやSIerが心配していた保守品質や部品供給の課題を、当社は第三者保守の専業事業者として解決しました。安心してサービスを利用していただけます」と自信を見せる。

 EOS、EOSLに悩む企業は、データライブの第三者保守サービスを検討してみてはいかがだろうか。

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提供:データライブ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年8月11日