SAPジャパンは九州電力送配電、東宝がRISE with SAPを稼働したと発表した。両社の導入目的から、RISE with SAPの幅広い活用方法が分かる。
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SAPジャパンは2024年7月23日に九州電力送配電、2024年7月25日には東宝がSAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を中核とするクラウドオファリング「RISE with SAP」を導入したと発表した。
九州電力送配電と東宝はなぜRISE with SAPを採用したのか。
九州電力送配電は発電側新制度対応のため、発電側課金計算システムの基盤としてRISE with SAPを採用し、2024年4月に本稼働した。本プロジェクトは導入ベンダーとしてQsolが支援した。
九州電力送配電は、新たに制定された系統設備維持、拡充費用の負担制度に対応するため、発電事業者への課金額の計算や請求、回収処理をシステム化する必要があった。この制度に対応するため、同社はRISE with SAPを基盤とした新システムを構築した。
同社は、SAPのクラウドサービスによって迅速で効率的なシステムを構築をした。ハードウェアの調達業務が不要となり、半導体不足などの外的要因に影響されることなく、必要に応じて増強ができる柔軟なシステム運用を実現したという。
クラウドサービスのバックアップについては、西日本と東日本で分散保管することで災害時の業務停止期間を最小限に抑えた。また、SAPのクラウドサービスの災害対策機能(DR)を活用することで、システム停止による業務中断を最小限にするシステム構成を整えた。
システム品質については、本番環境と同一性能の疑似本番環境を導入し、本番環境を模した検証をすることで、システムの信頼性を高めている。また、SAPのクラウドサービスの24時間監視と障害対応によって、運用面の工数および委託先工数、費用を大幅に削減し、十分なセキュリティを確保できているという。
映画製作と配給を中心とするエンターテインメント企業の東宝は、経営戦略の重要テーマに、成長のための投資、人材の確保・育成、アニメ事業の強化を挙げている。これらの目標達成には、従来の映画・配給事業中心のビジネス構造を超えた経営管理基盤の構築が必要だった。また、映画産業の急速な変化、デジタル化の進展、海外市場への進出といった外部環境の変化への対応も求められていた。
これらの目標を達成するため、経営管理の高度化、業務の再構築(シンプル化、自動化、統制強化)、変化に追随可能なビジネスインフラの構築という3つの方針を掲げ、実現する具体的な手段として、RISE with SAPとデータ&アナリティクスプラットフォーム「SAP Business Technology Platform」を導入した。
これによって、作品別収支分析や予実管理、市場トレンドの追跡に加え、非財務データを活用した迅速で精密な意思決定を支援する経営管理が可能となり、意思決定の迅速化、業務プロセスや機能配置の最適化、統制強化を実現したという。
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