データ品質管理が不十分 改革に4000億超え投資でも指摘受けた金融機関CIO Dive

シティグループは現在大規模なインフラのモダナイゼーションに注力している。規制当局によるデータ品質管理不足の指摘を受けて技術投資を行い、効率化などの面では成果は出始めているもののデータ品質の改善にはまだ時間がかかるようだ。

» 2024年08月30日 10時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 金融業のCitigroupのジェーン・フレイザー氏(CEO)は、2024年7月12日(現地時間、以下同)の2024年第2四半期決算説明会で、同行のデータ品質管理の欠陥を修正するため、インフラモダナイゼーションへの取り組みを強化すると述べた(注1)。

規制問題に対処するために大規模な変革を実施

 この発表は、米連邦準備制度理事会(FRB)と米通貨監督庁(OCC)が2020年の同意命令に違反したとして、同行に対してそれぞれ6060万ドルと7500万ドルの罰金を科した2日後に行われた(注2)(注3)(注4)。

 FRBは2024年7月10日の声明で、Citigroupはデータ品質管理に関する問題の是正を十分に進めていないと指摘している。フレイザー氏は現状を以下のように分析した。

 「インフラの大部分やリスクと管理環境における数十年にわたる投資不足に対処すべく変革を進めている。現在はまだ断片化された技術プラットフォームや非効率なプロセスが残っている。同意命令の範囲を超えた大規模な作業を進めている。古くからの歴史ある当社にとってこれは応急処置にとどまらず、根本的な問題に正面から取り組んでいる状況だ」(フレイザー氏)

 同氏は2021年3月にチーフエグゼクティブに就任して以来、デジタルトランスフォーメーションの推進を強調してきた(注5)。

 同行は2023年に120億ドル以上の技術投資を行い、2024年3月には6カ月にわたる組織の簡素化推進の最終段階に入った(注6)(注7)。

 金融業界がプロセス改善のために生成AIに注目する中、フレイザー氏は2024年6月、元PricewaterhouseCoopersのティム・ライアン氏(シニアパートナー)を技術リーダーシップチームに迎えた(注8)。同氏は技術責任者およびビジネス促進部門責任者として、同行のデジタル戦略の推進を支援する。

 フレイザー氏は2024年7月12日に、「私たちが行った技術投資は大きな成果を上げている。ローン予約にかかる時間を短縮したり、トレーダーのミスを減らすために自動化された管理システムを導入したり、リスクとアナリティクスをクラウドベースのインフラに移行したり、ダウンタイムを減らすためにプラットフォームの耐障害性を向上させたりした」と述べている。

 Citigroupが現在も抱えている規制上の問題は、現代の銀行業務における技術スタック、データ資産、コンプライアンス管理の間に深いつながりがあることを示している。マーク・メイソン氏(CFO《最高財務責任者》)によると、同行はデータ運用を合理化し、プロセスとコントロールを自動化し、業務効率を改善するためにIT投資に注力しているという。

 「私たちは、業務とリスクコントロールのインフラをモダナイゼーションするための変革と技術への投資を続けていく。とはいえ、特に規制当局への報告に関連するデータ品質管理については十分なレベルに達しておらず、このことは2024年初頭から認めている」とメイソン氏は2024年7月12日に述べた。

 メイソン氏はまた、データセンターの閉鎖やプラットフォームの削減など、銀行の簡素化の成果についても詳しく説明した。

 「2023年に改革関連業務に約30億ドルを費やし、2024年はそれ以上の投資を行う計画だ。変革を進める中で、以前ジェーン氏と私が触れた規制当局への報告に関するデータなど、いくつかのことに取り組んでいる」(メイソン氏)

 Citigroupは2024年6月30日までの3カ月間、前年同期比4%増の201億ドルの収益を計上した(注9)。経費は前年同期比2%減の134億ドルだった。メイソン氏は、経費の減少は組織簡素化による節約によるものであり、FRBとOCCの罰則と継続的な変革費用によって一部相殺されたと述べている。

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