「クラウド時代のデータ保護の新基準をつくる」 ヴィームと日本マイクロソフト、JBSの3社が協業

ヴィームと日本マイクロソフト、JBSの3社はハイブリッド/マルチクラウド時代のデータ保護ソリューション展開に向けて協業を強化している。AzureやMicrosoft 365のバックアップで顧客が抱える課題をどう解消するのか。

» 2024年10月04日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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左から日本マイクロソフトの浅野 智氏(執行役員 常務 パートナー事業本部長)、ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清氏(執行役員社長)、JBSの牧田幸弘氏(代表取締役社長)(出典:JBS発表資料)

 ヴィーム・ソフトウェア(以下、ヴィーム)は2024年10月2日、日本マイクロソフト、日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)の2社と共に「日本市場におけるMicrosoftソリューションの協業展開」について記者発表会を開催した。

 同説明会では、2024年3月にグローバルで発表されたVeeam SoftwareとMicrosoftの戦略的協業の背景および、これに向けて日本法人ではどのような戦略を進めるのかが語られた。

Microsoftとの戦略的協業で生まれる新たな価値とは?

 同説明会でヴィームの古舘正清氏(執行役員社長)はMicrosoftとの戦略的協業の背景とデータ保護のトレンドを解説した。古舘氏によると、以下4つの要因によってデータ保護のニーズは高まっているという。

  • ランサムウェア対策におけるバックアップ見直し
  • クラウドシフトに伴うバックアップ見直し
  • SaaSバックアップの拡大
  • VMware買収に伴うインフラ基盤の見直し

 「ランサムウェアは事業継続に影響を及ぼす深刻な経営リスクだ。感染が避けられない状況になっている今、感染を前提にいかに迅速にデータを復旧するかが企業の課題になっている。また、従来システムのクラウドシフトにおいてもデータ保護・バックアップは重要な価値を持つ」(古舘氏)

 特にハイブリッド/マルチクラウドが普及する今、事業継続においては以下の3つのポイントが重要になる。1つ目はランサムウェア感染からの復元対策だ。クリーンなデータ復元や復旧計画を立て、復旧に向けたリハーサルを綿密に実施する必要がある。2つ目はハイブリッド/マルチクラウドを統合したバックアップ環境の構築だ。古舘氏によると、クラウドネイティブなバックアップにおいてリストア機能に不安が残るという。3つ目は仮想/物理/クラウド/SaaSなどのデータの一元的な統合バックアップの構築だ。

 これらを実現するためにVeeam SoftwareとMicrosoftは2024年3月からグローバルで戦略的協業を強化している。両社のパートナーシップでは、Veeamのバックアップおよびリカバリー製品にAIを組み込んだ製品の共同開発やBaaS(Backup as a Service)販売の強化、「Microsoft 365」(以下、M365)や「Microsoft Azure」(以下、Azure)のデータ保護とリカバリー支援が発表されている。

Veeam SoftwareとMicrosoftのアライアンス(出典:ヴィーム発表資料)

 日本市場でも日本マイクロソフトのパートナーであるJBSと協業し、AzureやM365などのMicrosoftソリューションのデータ保護に注力する計画だ。

 JBSの牧田幸弘氏(代表取締役社長)はこれについて「ハイブリッド/マルチクラウドへのクラウドシフトが進む中でクラウドに保存するデータについては顧客が責任を持って保護する必要がある。その際に求められるデータ保護ソリューションの要件は、『ハイブリッド/マルチクラウドでサイロ化を取り払い一元的な統合データ管理を実現できること』『レジリエンスを高め高速かつ安全にデータを復旧できること』だ。当社はヴィームと協業し、VMwareからAzureへと移行する際にVeeam製品の高速リストア機能を活用してこれを支援する他、Veeam製品を活用したM365のバックアップサービスなども提供するよう準備を進めている」と語った。

ヴィームと日本マイクロソフト、JBSの協業によって提供されるデータ保護ソリューションの将来像(出典:JBS発表資料)

 これによって顧客にはリストア性能の向上による事業継続対応力の強化、クラウドストレージコストの圧縮、マルチクラウド対応の促進といったメリットが得られるという。

 「クラウド時代には新たなデータ保護の標準が必要になる。ヴィームは日本マイクロソフト、JBSと協業し、顧客のハイブリッド/マルチクラウド環境を強力にサポートできる体制を整えていきたい」(古舘氏)

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