CrowdStrikeは、既存顧客との関係を維持するために導入した顧客向けコミットメントパッケージを終了する。同社の株価下落の原因を確認しよう。
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2025年3月5日(現地時間、以下同)の午前の取引で、サイバーセキュリティベンダーであるCrowdStrike Holdingsの株価が下落した。2024年7月に発生した世界的なIT障害からの復旧が続く中、同社は市場の予想を下回る業績の見通しを発表している。
CrowdStrikeは現在、2026年度の第1四半期の収益を1株当たり64セントから66セント(注1)、年間収益を1株当たり.33ドルから3.45ドルと予想している。また、年間売上高として47億4000万ドルから48億ドルを見込んでいる。
2025年3月5日の午後の取引が開始され、CrowdStrikeの株価は9%安の354.85ドルとなった。
同社は、2024年の世界的なIT障害の後に顧客を維持するためのインセンティブとして提供していた顧客向けコミットメントパッケージ(CCP)を終了すると発表した(注2)。この障害は、大手航空企業や医療機関、金融機関などの世界中の企業における数百万台の「Windows」のシステムに影響を与えた。
CrowdStrikのジョージ・カーツ氏(CEO)は、2025年3月4日の決算報告の場で次のように述べた。
「CCPのプログラムは優れた予防策であり、影響を受けた顧客との関係を強化しただけでなく、当社のプラットフォームの大規模な導入にもつながった」
近年サイバーセキュリティ業界では激しい競争が起きており、その環境の中でCrowdStrikeは事業を展開している。競合のPalo Alto Networksなどは(注3)、大口顧客を単一のセキュリティプラットフォームに統合し、導入するツールの数を削減するために、支払いの延期やその他のインセンティブを提供している。
業界におけるこれらのインセンティブは、既存のセキュリティベンダーとの契約を終了し、サービスを新たなベンダーに統合する際に、顧客が二重払いを避けられるよう支援する目的もある。
CrowdStrikeによるソフトウェアアップデートの不具合が原因で発生したIT障害を受けて、競合のセキュリティ企業は同社から市場シェアを奪おうと攻勢をかけた。
CrowdStrikeは、年間経常収益(ARR)が前年同期比で23%増加し、42億4000万ドルに達したと発表した。この指標は、サブスクリプション型のサービスに基づいて企業にどれだけの収益が入ってくるかを示す指標として注目されている。
CrowdStrikeは、2025年1月31日に終了した第4四半期の総売上高が前年同期の8億4500万ドルから25%増加し、10億6000万ドルに達したと発表した。
非GAAPベースの純利益は、前年同期の2億3600万ドル(1株当たり96セント)に対し、約2億6100万ドル(1株当たり1.03ドル)となった。
(注1)CrowdStrike Reports Fourth Quarter and Fiscal Year 2025 Financial Results(CROWDSTRIKE)
(注2)CrowdStrike avoids customer exodus after triggering global IT outage(Cybersecurity Dive)
(注3)Palo Alto Networks’ free incentives offer sparks investor anxiety(Cybersecurity Dive)
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