Microsoftが25億ドルを投じてAI変革組織を新設 顧客データの学習利用、マルチモデル対応はどうなる?ITニュースピックアップ

Microsoftは25億ドルを投じ、6000人の専門家を擁する新組織を設立。「PoC止まり」に悩む企業のAI変革を支援する。企業が最も懸念する「データの安全管理」や「モデル選択の自由」に対して同社が出した答えとは。

» 2026年07月09日 07時00分 公開
[ITmedia]

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 Microsoftは2026年7月2日(現地時間)、企業のAI変革を包括的に支援する新事業「Microsoft Frontier Company」を設立すると発表した。25億ドルを投資し、6000人の業界、技術分野の専門家を顧客企業へ配置する体制を整備する。

顧客の知的資産保護を柱に企業AI変革を支援

 同社は「企業によるAI導入が試験段階を終え、事業成果や投資効果の実証を求める局面へ移った。企業はAI活用を通じ、自社固有の知識や知見、業務手順、意思決定手法を蓄積し、競争力に結び付ける仕組みを必要としている」と説明した。

 新組織は業種知識や組織改革支援、継続的改善、企業を対象としたAIエンジニアリング技術を組み合わせ、顧客企業全体の変革を支援する役割を担う。従来のForward Deployed Engineeringの枠組みを超える体制として位置付け、大規模なAI導入から運用改善まで一貫して支援する。

 Microsoftは、企業独自のデータや知見を蓄積する基盤と、安全性や運用管理、監視、統制を担う基盤の2つが必要と説明した。FinOpsを活用し、AI投資効果を評価する仕組みも提供し、新組織は両基盤を結び付ける役割も担う。業種知識を持つ技術者がAIシステムを継続的に改善し、業務プロセスを最適化することで、企業独自の知見を蓄積し続け、事業成果へ結び付ける考えを示した。

 同社は、新組織の目的を、AI活用によって顧客企業固有の知見を強化し、市場で独自性を高める支援と説明した。導入事例として、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)では金融情報サービス「LSEG Workspace」にAIを組み込み、利用者が構造化データと非構造化データを横断して複雑な質問に短時間で回答を得られる仕組みを構築したと紹介した。顧客からの評価や利用状況を反映し、モデル性能や適用範囲を継続的に改善しているという。

 Land O’LakesやUnilever、Novo Nordiskでも同様の支援を実施し、成果を確認していると説明した。世界規模でサービスを展開するため、AccentureやCapgemini、EY、KPMG、PwCなどのシステムインテグレーターとの協力体制も強化する。パートナー企業との連携を通じ、幅広い市場へ新組織の取り組みを展開する計画だ。

 Microsoftは、顧客企業の知的資産保護を新組織の基本方針に据えた。顧客データや知的財産、競争力の源泉となる情報を、業界内で差別化要素を失わせる用途でAIモデル学習へ利用しない方針を明確にした。また多様なAIモデルへ対応するオープンな基盤を提供する。顧客企業はOpenAIやAnthropic、Microsoft AI、オープンソース、特定業種用のモデルなどから用途に応じたモデルを選択でき、特定企業や単一モデルへの依存を避けられると説明した。

 Microsoftは、新組織を通じ、AI活用で顧客企業の知見を強化すると同時に、安全性を確保し、事業成果と投資効果の実現を支援する方針を示した。

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