Gartnerは2026年の日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクルを発表した。31の先端技術のうち5項目が「過度な期待」のピーク期にあるという。クラウドの役割が根本から変わりつつある今、ピーク期に並んだ5項目とは何か。
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ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2026年9月28日、「日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクル:2026年」を発表した。31の先端的なクラウドとAIのテクノロジーやイノベーションを取り上げている。
ハイプ・サイクルは、テクノロジーやアプリケーションの成熟度と普及率に加えて、それらが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の活用にどう関連するかを図示したものだ。AI分野は全般的にベンダーの投資が活発で、ユーザー企業の関心や実践も急速に高まっている。このためガートナーは、多くの技術が比較的短期間で成熟していくとみている。
一方で2026年版では、5つのテクノロジーやイノベーションが「過度な期待」のピーク期に位置付けられた。期待が実態を先行している今、企業が冷静に見極めるべき5項目とは何か。
ピーク期に位置付けられたのは、フロンティアAI、FDE(Forward Deployed Engineer)、エージェント型AI、フィジカルAI、クラウド・レジリエンスの5項目だ。エージェント型AIを中心とした市場は、今後も急速な進化が続くとガートナーは予測している。
中でもフロンティアAIについてガートナーは、AI産業革命を支える中核技術であり、企業の競争力や国家の技術主権を左右する戦略的基盤になりつつあるとみる。OpenAIやAnthropic、Googleなどの主要ベンダーが、より高度な推論能力やAIエージェント機能を備えたフロンティアAIの開発を競っている。性能向上はソフトウェア開発や研究開発、業務自動化、科学技術計算など幅広い分野の変革を促している。
ガートナーの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト)は次のように述べる。
「フロンティアAIは、今後あらゆるAIサービスやAIエージェントの知能基盤となる可能性が高く、企業にとっては『採用するか否か』ではなく、『どのモデルを、どのようなガバナンスの下で利用するか』が重要な経営課題となる」
フロンティアAIを戦略的に利用する企業は新たな競争優位を獲得できる。一方で、特定ベンダーへの依存や、地政学的要因による提供制限、価格変動、法規制の影響を受けるリスクも高まる。性能だけでなく、マルチAIモデル戦略やソブリンAI、データ主権を含めた総合的なAI戦略が競争力を左右するとガートナーは指摘する。
ハイパースケーラーの登場から約20年がたち、クラウドは企業に不可欠な基盤となった。昨今はAIとクラウドが相互に進化し、クラウドはAIを利用する基盤から、AIを中核として設計、運用される「AI駆動型クラウド」へと進化している。このパラダイムシフトは、クラウドの役割だけでなく、企業のIT戦略やビジネス戦略、競争環境そのものを変えつつある。
「クラウドは、従来のITインフラの単なる延長ではなく、AIエージェントを構築、実行、連携、運用する戦略プラットフォームへと変貌しつつある。企業は、クラウドを継続的なイノベーションを支える経営基盤として位置付ける必要がある。今後は、AIそのものだけでなく、それを支えるクラウド基盤の進化が企業競争力を左右する」(亦賀氏)
AI駆動型クラウドへの転換は、テクノロジーを導入するだけでは実現できない。経営層から現場まで、AIやクラウド、プラットフォームエンジニアリングに関する知識やケイパビリティを継続的に高めることが欠かせない。亦賀氏は「AI時代の競争力は、テクノロジーそのものではなく、それを利用して価値へと結び付ける人材と組織によって決まる。クラウド戦略は、同時に人材戦略でもある」と語る。
ユーザー企業は個々の製品やベンダーだけを見るのではなく、AIエージェントプラットフォームやAI駆動型クラウド、標準化、オープンエコシステムなど市場全体の変化を継続的にウォッチする必要がある。その上で自社のアーキテクチャ、パートナー戦略、投資タイミングを柔軟に見直し、変化を競争優位へと転換していくことが重要だとガートナーは提言している。
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