メインフレームのコードを外に出さずにAI開発 IBM Bobがオンプレ、エアギャップ対応:ITニュースピックアップ

メインフレームのコードをAIで扱いたいが社外には出せない企業に向け、IBMはAI開発基盤「IBM Bob」を自社で管理する環境で運用できるようにした。メインフレームの開発現場は何が変わるのか。

» 2026年10月08日 10時50分 公開
[ITmedia]

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 IBMは、AI開発基盤「IBM Bob」(以下、Bob)と、メインフレーム「IBM Z」用の「IBM Bob Premium Package for Z」(以下、Z版)に、企業が自社で管理する環境で運用できる「セルフホスト方式」を追加したと、それぞれ2026年10月1日と9月30日(いずれも現地時間)に発表した。

 オンプレミス、プライベートクラウド、ソブリンクラウド、エアギャップ環境で利用でき、機密コードや規制対象データを外部へ移さずに、AIを使った開発やモダナイゼーションに取り組めるようにする。Z版では、Z固有のアプリケーション理解・分析機能なども拡充する。

オンプレミスやエアギャップ環境でAI開発やモダナイゼーションを支援

 Bobはコード生成に加え、ソフトウェアの開発・提供やモダナイゼーションにAIを活用するエージェント型開発基盤。セルフホスト型の配備方式は、データレジデンシー(データを保管する国・地域に関する要件)やセキュリティ方針、AIガバナンス、開発工程を自社で管理する必要がある企業を想定する。企業はコードやデータが置かれた環境へ配備可能だ。対応モデルを自社環境で動かす他、ハイブリッド構成で外部のモデルサービスへ接続できる。エアギャップ環境でも、企業がライセンスを取得した対応モデルを稼働できる。

 背景には、知的財産や独自コード、規制対象の顧客情報を扱う企業が、AIの稼働場所やデータアクセス、統制に関して厳格な要件を抱えていることがある。IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Valueは2026年2〜4月、世界の経営幹部1000人を対象に調査を実施し、同年6月に報告書を公表した。同調査によると、回答者の68%が、複数の国・地域にまたがるデータレジデンシー要件や主権要件への対応が難しいと答えた。調査会社Futurum Researchは、AIインフラ市場に占めるハイブリッドとエッジでの配備の割合が2030年までに44%に達する一方、パブリッククラウドの割合は46%に低下すると予測している。

 Z版は、AI開発にZ固有の専門知識、決定論的(同じ入力に対して常に同じ結果を返す)なアプリケーション理解、静的コード分析、モダナイゼーション手順を組み込む。「Red Hat OpenShift」でBobを動かし、インフラ、データ、アクセス、ポリシーを企業側で管理する。新機能「Application View」は、IDE内でZアプリケーションの全体構造をトップダウンで把握できるようにし、アーキテクチャと業務ルール、依存関係を結び付け、アプリケーション調査や影響分析、モダナイゼーション計画を支援する。

 「zContext」はIBMが整備したZ固有知識をBobへ取り込み、言語、ミドルウェア、基盤固有技術の情報を利用時に自動取得する。汎用AIモデルが十分に扱えない領域の知識を補い、プロンプトへ知識を手作業で加える負担を抑える。COBOLの性能改善に関する推奨には、アプリケーションの実行時プロファイリングデータを加えた。静的コード分析と実行時情報を組み合わせ、影響が大きいコード経路へ最適化作業を集中させる。これらの機能を再利用可能な「Bob Skills」や専用モード、支援ツールと組み合わせ、モダナイゼーション作業全体でZの専門知識を一貫して適用できるようにする。

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