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Web型基幹業務システムの課題を解決するリッチクライアント製品「Biz/Browser」

業務システムの中核にもWeb型のやり取りが当たり前となってきた昨今、従来と比べて応答速度やユーザーインタフェースの違いが使用者の効率低下を招くため、課題となっている。その解の1つが「リッチクライアント」だ。

 業務システムにおけるアーキテクチャのトレンドは、長い時間をかけて変化してきた。ホストコンピュータによる一極集中のシステムは、信頼性やメンテナンス性の高さから、80年代においてポピュラーなアーキテクチャとなった。しかし、そのハード、ソフト、運用管理面のコスト面の見直しからオープン化の流れによって徐々にその影響力を弱めていったのだ。

 そして次なる主役へと躍り出たのが、いわゆる「クライアント/サーバ」による分散型のアプローチである。個々のクライアントPCがフロントエンドを受け持ち、ビジネスロジックとデータの処理はサーバ側が受け持つというスタイルは、システム負荷の分散やハード、ソフト面でのコストメリットが大きいことから支持を集めた。しかし、90年代後半から現在に至る爆発的なインターネットの普及に端を発した「Web型」のシステムへと、トレンドは徐々に移っていく。

Web型へのシフトで表面化したのが応答性やUI

 インターネットの技術をベースに、Webブラウザを軽量なクライアントとして利用するWeb型の業務システムは、クライアント/サーバ型のアーキテクチャによって、個々のPCへと分散してしまったクライアントの機能を再びサーバ側へと集約することによって、システムのメンテナンス負荷を軽減できるものとなった。また、オープンアーキテクチャの恩恵である、コストの低さやさまざまなシステムとのインターオペラビリティの高さも確保できる仕組みとして人気を得ている。

 しかし、業務システムが従来型からWeb型へと移行するにつれ、いくつかのデメリットも見え始めている。中でも特に問題となっているのがWeb型システムの「応答速度の遅さ」と「ユーザーインタフェースの貧弱さ」による業務効率の低下である。ひんぱんなWebサーバへのアクセスやブラウザによる再読込み、HTMLとスクリプトをベースにした比較的プアなユーザーインタフェースは、予想以上に利用者の作業効率を低下させてしまうことが分かってきたのだ。


図1■Biz/Browserのシステム構成

 Web型のシステムが抱える、これらの宿命的な問題を解決するために登場した考え方のひとつが「リッチクライアント」である。リッチクライアントにおいては、Web型システムのメリットであるインターネットのオープンな技術をベースとしつつ、従来のクライアント/サーバ型システム、業務用入力端末に匹敵する、扱いやすいユーザーインタフェースを提供することを目指す。また、データをクライアント側にキャッシュすることにより、サーバとの不必要な通信を極力避けることで、クライアントの応答速度を向上させる。これにより、ネットワーク負荷が軽減されるとともに、ネットワーク切断時のクライアント側での作業も可能になる。

 こうした、リッチクライアントによる業務システムを構築するための有効なソリューションのひとつが、アクシスソフトが開発し、日立製作所が販売を行っている「Biz/Browser」だ。

業務システムのためのリッチクライアント「Biz/Browser」

 「Biz/Browser」は、「業務用クライアントソフト」として、1999年に最初のバージョンが発売された事例実績の多いリッチクライアントである。これまでの出荷ライセンスは約36万クライアント、導入社数は約300にのぼる。


写真1■日立製作所、ユビキタスプラットフォームグループソリューション統括本部開発部の加藤審吾氏

 日立製作所では、主に同社の顧客である大規模企業の基幹系業務システムのフロントエンドとして、「Biz/Browser」を数多く導入してきた。東京海上日動火災保険の次世代代理店オンラインシステム、イトーキの基幹系業務システムにおけるフロントエンドなどが、その一部である。

 業務システムの構築において、「Web型のシステムを採用したい」というシステム側の理由でユーザーの使い勝手が低下するという状況は、絶対に避けなければならない。保険会社の代理店システムなどが良い例だが、特に社外のユーザーに利用してもらうことが必要なシステムではなおさらだ。

 業務システムに特化した「Biz/Browser」では、キーボードフォーカスや「Enter」キー、日本語入力システムの制御、ファンクションキーの割り当て、入力データのチェックといった機能をユーザーインタフェース側に盛り込むことができ、一般的なWebブラウザと比較して、格段にユーザビリティの高いクライアント環境を実現することができる。

 また、「Biz/Browser」は、CRS(Chain Reflection Script)と呼ぶJavaScript(ECMAScript)に似たスクリプト言語により、画面定義などのユーザーインタフェース情報を記述している。さらに、通信量を抑制するため、各CRSファイルはバイナリ形式に圧縮されクライアントPCに保存される。いちどクライアントPCへダウンロードされると、サーバ側で更新されない限り、再びダウンロードは行われない。さらに、入力したデータはクライアント側にキャッシュされ、送信の指示を行ったときに初めてサーバに送られるため、ネットワークの通信量は大幅に削減される特徴がある。このため、作業時の応答速度は極めて高速だ。低速回線での利用も快適に行えるため、比較的通信速度が遅いPDAやハンディターミナルを利用するシステムにおいても、「Biz/Browser」の導入が進んでいるという。


写真2■アクシスソフト、営業本部営業部の高橋悟氏

 「Biz/Browser」の導入を容易なものとしているもうひとつの理由が、「Biz/Designer」と呼ばれる開発環境の存在。「Biz/Designer」は、「Biz/Browser」上で利用するユーザーインタフェースを構築するためのGUI開発ツールとして位置づけられている。フォーム上にボタンや入力フィールドなどを貼り付けていくビジュアルなデザイナと、CRSのコーディング環境を備えたVisual Basicライクな2wayツールだ。

 「業務システムに必要なパーツは、あらかじめ部品として用意されている。これらをプラモデルを作るような感覚で組み上げていくことでユーザーインタフェースを構築することができる。リッチクライアントを導入するに当たり、「Biz/Designer」のような生産性の高い開発環境が用意されているのも、Biz/Browserのメリットのひとつ」と、アクシスソフト営業本部営業部の高橋悟氏は説明する。

セキュリティ強化の新バージョンが登場

 2005年6月には、これらの製品の最新バージョンである「Biz/Browser XE」「Biz/Designer XE」が発売された。導入事例を多く手がける、日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ ソリューション統括本部開発部の加藤審吾氏によれば、「このバージョンアップには、既存のユーザーから日立に寄せられた要望も多くフィードバックされている」という。

 最新版では、セキュリティ機能が強化され、複数のアルゴリズムによるデータの暗号化やデータ改ざんの検出、画面のハードコピーの禁止などが可能になった。また、日本語に加えて、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に対応し、グローバル展開を行う企業での導入も、より容易になっている。

 「ユーザビリティの向上」という切り口では、「Biz/Browser」上でのドラッグ&ドロップによるオブジェクト操作が可能になったほか、プラグイン機能により、スマートカードやUSBトークンといった外部デバイスの制御も行えるという。

 基幹業務システムに必要とされる「使いやすさ」と「高速さ」を、管理コストが少なくメンテナンス性の良いWeb型のシステムで実現できる「Biz/Browser」は、「業務システムのためのリッチクライアント」として、企業ユーザーのニーズを取り入れながら、さらに進化を続けている。

提供:株式会社 日立製作所
企画:アイティメディア 営業局/制作:ITmediaエンタープライズ 編集部/掲載内容有効期限:2005年10月31日