「ムダを省くRFID」──“リーン”エンタープライズを追求するOracle:Oracle OpenWorld London(2/2 ページ)
Oracleは、英国ロンドンで開催中のカンファレンス「Oracle OpenWorld London 2004」で、「リーンエンタープライズとRFID」と題したパネルを設け、専門家やユーザーを交えてディスカッションを行った。
RFIDそのものは何も新しい技術ではない。ハードウェア面での技術革新が進んだことや価格低下、無線技術の進展がこのところのブームの背景にある。ここ3年ほどRFID導入のパイロットを手がけてきたインドのITサービス企業、Tata Consultancy Serviceのトップ、ラジープ・サワラット氏は、「世界を変えてしまうほどのものではない」と現実的な見解を示す。実際には、RFIDのハードウェア(チップやリーダーなど)から、ITシステムのハードウェア、エッジプロセス、統合/アプリケーション・サーバ、アプリケーション、ビジネスプロセスの各レイヤ連携しなければ、最大のメリットを引き出すことができない。しかも、RFIDのハードウェアはまだまだ発展途上で、タグの設計やアンテナなどで改良の必要がある。
求められるのはアプリ間連携
とはいえ、RFIDはデータの洪水を意味する。Oracleの出番は、情報収集、およびその後の「収集した情報をどうするのか」にあり、事業開発副社長のアリソン・フライホフ氏は、管理フレームワークの中で収集、アクセス、分析、反応の4ステップを繰り返すイメージを説明した。真ん中にあるのは、「1つの真実」を提供する単一データベースだ。
膨大なデータに対応できるのか? 管理や取り扱いは大丈夫なのか? セキュリティは? こうした技術的な不安に対しては、「問題なし」とフライホフ氏は自社技術に自信を見せるものの、「リアルタイムでさまざまなソースから情報を収集し、人の介入なしにアプリケーションがイベントに対応し、アプリケーション間でやりとりが行われるような自動化の仕組みが必要」と説明する。
彼女は、「RFIDはスタンダロンでは意味がない。仕組みにビルトインすることが必要」とし、Oracleの強みとして、リスクを減らすアーキテクチャ、継続的なビジネスバリューの追加、既存投資の活用、小さく開始して規模を拡大できる拡張性をアピールした。
欧米では消費者団体によるプライバシー懸念の声が上がっているが、これに対しては、Oracleのフォーカスは消費者の手に届く前のサプライチェーンにあることを強調したほか、通信範囲が3〜4メートルと比較的短いことなども補足した。既にパイロットプロジェクトを開始している国際物流大手DHLの担当者からは、所有者情報を組み込むことにより、自分の荷物が紛失するという不安を解消できるとし、「ポジティブな方法にも使える」と指摘した。
関連記事
- EBS 11i.10の方向転換は「痛みを取り除き、質の高い情報を提供するため」とOracle幹部
- グリッドで実現可能なリアルタイムエンタープライズを示すOracle
- Oracle、統一データモデル実現のために統合を強化したEBS 11i.10を発表
- Oracle OpenWorld London開幕、「EBS 11i.10」でデータ中心アーキテクチャを完成
- 「IBMを追い抜くまで私の役割は終わらない」とOracleのフィリップス社長
- 「1つの真実」を求める顧客にスイートの扉を開くOracle
- 米Oracle、RFID機能が組み込まれた倉庫管理ソリューションを発表
- 「10gでビッグサーバ開発競争に終止符を打つ」とエリソンCEO
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.