「一つの真実」を追い求めて信念を貫くOracleのエリソンCEO:Oracle OpenWorld 2004(2/2 ページ)
サンフランシスコで開催中のOracle OpenWorld 2004はラリー・エリソンCEOが登場し、最大のヤマ場を迎えた。シリコンバレーのカリスマは、「一つの真実」を追い求める。
本当に支払い能力がある?
今年1月のOracle AppsWorld San Diegoで発表された「Oracle Customer Data Hub」は、既存のシステムが捨てられない企業もグローバルシングルインスタンスに近い恩恵が得られるアプローチだ。「E-Business Suiteの全面採用」「E-Business Suiteと他社アプリやレガシーとの統合」に次ぐ、第3の道だ。
Data Hubの概念を分りやすく説明するため、エリソン氏は、「グローバルクレジットデータベース」なる活用法を好んで引き合いに出す。
さまざまな銀行がクレジットカードを発行しているが、悪意ある利用者が100行でカードをつくり、1万ドルずつ買い物をした場合、総額は100万ドルに上る。同じ人なのにそれぞれのカード発行会社のシステムにデータが断片化しているため、1枚のカードだけの合計から判断して与信してしまう。
「あなたがスイスに旅行して、5000ドルの時計を買おうとしたとき、果たして店主は売ってくれるだろうか?」(エリソン氏)
本当に支払能力があるのか? 職を失っていないか? インフォメーション時代にふさわしいアプリケーションがあれば、顧客に関する一つの真実を把握でき、意思決定できるに違いない。これこそ「Information Age Applications」だとエリソン氏は言う。
今回のOracle OpenWorldで同社は製品情報でも唯一の真実をもたらしてくれる「Product Data Hub」、市民情報を各省庁が横断的に共有できる「Citizen Data Hub」、法規制と経営レポートのプロセスを統合する「Financial Consolidation Hub」、そして財務データと会計ポリシーを統合する「Financial Services Accounting Hub」の4製品をプレビューしている。エリソン氏は今後さまざまなData Hubの普及すると期待する。
「テロリストのData Hubがあれば、9.11テロは防げたに違いない。実行犯はフロリダで指名手配されていたのに、入国管理では“バカンスですか? ようこそ米国へ”なんて歓迎されたに違いない」(エリソン氏)
会場からの質問に答えたもので、多少の誇張はあるものの、テロとの戦いを余儀なくされている米国では現実の問題でもある。実際、昨年のOracleWorldではエリソンCEOのキーノートの翌日、何者かから爆破予告があり、カンファレンスは一時中断に追い込まれている。
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