経営スピードを高めるOracleテクノロジー、「Customer Data Hub」も初公開
Oracle OpenWorld Shanghai 2004は2日目を迎え、午前のキーノートにトーマス・クリアン上級副社長が登場し、経営を加速するOracleサーバ技術をアピール。1月のOracle AppsWorld San Diegoで発表されたOracle Customer Data Hubのデモも飛び出した。
7月21日、「Oracle OpenWorld Shanghai 2004」は2日目を迎え、午前のキーノートにアプリケーションサーバを担当するトーマス・クリアン上級副社長が登場した。クリアン氏は、激動のアジア市場で企業が成功するカギは、Gartnerが言う「リアルタイムエンタープライズ」の実現にあるとし、それを支援する「Oracle Customer Data Hub」をはじめとする一連のOracleサーバテクノロジーをアピールした。
企業は毎年、多額のIT投資を行い、そのデータセンターの整備を図ってきたが、彼らの多くは、「だれが重要な顧客は?」「新製品のターゲットとなる顧客は?」といった単純な質問にも答えることができないのが実情だ。多くの企業は陳腐化した質の低い情報しか得られず、依然としてシステム間をつなぐために人が介在しなければならないという課題を抱えているという。
クリアン氏は、RFID対応のインフラ製品や、質の高い顧客情報を提供するOracle Customer Data Hub、ビジネスプロセスを高度に自動化する機能を備えたOracle Application Server 10g、さらにはOracle 10gのグリッドコンピューティング技術を活用すれば、企業はそうした課題を解決できるとし、デモを交えながら、Oracleのソリューションを売り込んだ。
Customer Data Hubを初公開
圧巻は、1月のOracle AppsWorld San Diegoで発表されたOracle Customer Data Hubのデモだった。恐らく大規模なカンファレンスで実際にデモして見せるのは初めてだろう。
Oracle Customer Data Hubは、「Oracle Data Model」「Oracle Customers Online」、および「Oracle Data Librarian」という3つのコンポーネントから構成される。
Oracle Data Modelは、ビジネスで起こるさまざまな事象を、何千ものテーブルを定義して関連付けながら実装したもので、E-Business Suiteのキモといえるものだ。Oracle Customers Onlineは、Oracle Data Modelによって構築された顧客情報のリポジトリにアクセスする単一のウインドウとして機能し、Oracle Data Librarianは、データを統合し、その質を高めるためのツールだ。
初日夕方に行われたキーノートでも、アプリケーションの開発を統括するロン・ウォール執行副社長が、「E-Business Suiteの全面採用」や「E-Business Suiteと他社アプリやレガシーとの統合」に次ぐ、第3の道として「Oracle Customer Data Hubの導入」を推奨している。
ステージでは、「ユニバーサル・セルフォン」という仮想の携帯電話機メーカーがOracleのソリューションによってリアルタイムエンタープライズを実現していく様子を見せた。Oracle Customers Onlineから「Velocity」という顧客を検索したところ、「Velocity Corp.」「Velocity Electoronics」「Velo City Inc.」の情報が見つかった。JD EdwardsやPeopleSoftといったさまざまなアプリケーションが作成する顧客マスターから引き出しものだが、実はどれも同じ顧客……。システムごとに断片化された情報の典型といえる。
画面はデータのクレンジング(洗浄)を行うData Librarianに切り替えられ、どの名称で統一し、マスターごとに異なる項目のどれをマージするのか、といった名寄せのルールを簡単に設定していく。双方向の同期機能を備えているため、JD EdwardsやPeopleSoftの各種システムで生成される顧客情報は、ほぼリアルタイムでCustomer Data Hubに統合され、ほかのシステムからも参照可能となるという。
アジア太平洋地域でも、ニュージーランドの通信事業者最大手、New Zealand TelecomがOracle Customer Data Hubを導入し、顧客に対するシングルビューを実現しているという。
ダッシュボードでビジネスを監視
仮想の携帯電話機メーカーが自動化をさらに進め、受注から現金回収までのビジネスプロセスを改善していくデモも行われた。ステージでデモされたBusiness Activity Monitoring(BAM)は、ビジネスプロセスのボトルネックを発見し、その解決策を探るツール。デモでは、ダッシュボードにA社向け製品に関して受注から納品までの期間が著しく長期化しているアラートが表示され、ドリルダウンによってある部品の調達承認に日数がかかっていることが分かった。一定の金額に収まっている調達であれば、CFOから自動承認されるようにOracle JDeveloperツールでビジネスプロセスのルールを変更し、ボトルネックは解消された。
Oracleは6月末、Collaxaの買収を発表したばかり。これによりビジネスプロセス自動化を支援する技術を獲得し、サービス指向アーキテクチャ(SOA)でシステムを構築するための統合化されたソリューションを提供しようとしている。
RFIDのようなテクノロジーでスピードを上げ、顧客に関する“真実”もほぼリアルタイムで把握できる。ビジネスプロセスをスローダウンさせる人の介在もさらなる自動化で改善できる。
クリアン氏は、「こうしたさまざまなソリューションがOracle 10gファミリーを構成している。ITインフラを最適化する包括的なソリューションをOracleなら提供できる」と売り込んだ。
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