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衝撃のプロセッサ事情――インテル® Itanium® 2 プロセッサという“決断”“過去”からの脱却――エンタープライズ・サーバー選択の新常識

現在、2つの64ビットプロセッサを持つインテルだが、その一つであるインテル® Itanium® 2 プロセッサは新たな局面に差し掛かろうとしている。ここでは、インテル・マーケティング本部徳永貴士部長に、それぞれのプロセッサの位置づけ、狙う市場などを聞き、インテル® Itanium® 2 プロセッサの今後の動向を考える。

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 インテルには2つの64ビット・アーキテクチャが存在する。1978年に誕生した8086プロセッサにルーツを持つx86アーキテクチャに、64ビットメモリ拡張技術(EM64T)を組み合わせたIA-32アーキテクチャと、最初から64ビットを前提に開発が進められ2001年にデビューしたItanium® プロセッサのベースとなる、EPIC(明示的並列命令コンピューティング技術)アーキテクチャだ。両者の間には、実に四半世紀近い歳月の差があるが、広大なアドレス空間、64ビット長のレジスタなど仕様的な共通点も少なくない。ここでは、並存するインテルの64ビットプロセッサが狙う市場の動向と、それぞれのプロセッサの位置づけ、特にインテル® Itanium® 2 プロセッサの位置づけについて、インテル・マーケティング本部徳永貴士部長に話をうかがった。

ターゲットを見据えた開発が行われたItanium® アーキテクチャ

 現在、サーバ向けプロセッサは急速に64ビット化が進んでいる。インテルが64ビットプロセッサを市場に提供したのは、2001年5月のItanium®(開発コード名:Merced)および2004年6月のDP版Xeon® プロセッサ(IA-32/同Nocona)から。IA-32については64ビット化されてまだ1年半あまりしか経過していないが、インテルが出荷するサーバ向けプロセッサのほとんどが64ビット対応のものになろうとしているという(*1)。

 プロセッサを64ビット化する最大のメリットは、アドレス空間の拡大にある。32ビットプロセッサでは2の32乗、つまりアドレス空間は4Gバイトで制限されるが、64ビットプロセッサであれば2の64乗、すなわち16エクサバイトのアドレス空間を確保できる(理論値)。サーバ向けプロセッサで64ビット化が進んでいる大きな理由は、4Gバイトを超える広大なアドレス空間を必要とするアプリケーション、巨大なデータベースや科学技術計算といったものがすでに利用されているからだろう。

 最初からこうしたアプリケーションを念頭に開発されたのがインテル® Itanium® プロセッサだ。Hewlett-Packard(HP)との共同開発による産物であるEPICアーキテクチャに基づくインテル® Itanium®プロセッサは、2002年7月に発表された第2世代のMcKinley(開発コード名)から名称をインテル® Itanium® 2 プロセッサに変えたが、その本質に変わりはない。ソフトウェア技術(コンパイラ技術)の進化とともに性能向上が図られるEPICアーキテクチャは、巨大な実データを扱った場合の実効性能に優れる。

 また、巨大なデータの処理を前提として開発されただけに、信頼性の確保にも十分な配慮がなされている。バスおよびメモリのエラーチェックやそのリカバリを可能にする技術が最初から組み込まれているのもインテル® Itanium® 2 プロセッサの特徴だ。年内中頃にはデュアルコア化された次世代プロセッサ(開発コード名:Montecito)も登場する見込みだが、そこでは大容量化するキャッシュメモリの信頼性を確保するための技術(Pellstonテクノロジ)も採用される。

 一方、64ビット拡張が施されたIA-32プロセッサは、長い歴史とそこで蓄積された豊富なソフトウェア資産が最大の特徴だ。64ビット環境に移行しても、32ビット時代に蓄積したソフトウェア資産をシームレスに継承できるというメリットもある。基本的に、デスクトップPCやノートブックPCに使われるプロセッサと同じマイクロアーキテクチャをベースにしているため、量産規模が大きく、価格性能比にも優れる。ただ、PCのアーキテクチャをベースにしているため、インテル® Itanium® 2 プロセッサほどの信頼性は重視されていない。信頼性の確保は主にチップセットなど、プラットフォーム側に委ねられることになる。

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それぞれのプロセッサの機能比較。IPFが高信頼性のプラットフォームであることが分かる

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メインフレーム分野の標準アーキテクチャに向けて

 両プロセッサのこうした違いが、それぞれの位置づけの違いを生み出す。インテル® Itanium® 2 プロセッサが高信頼性を生かし、RISCプロセッサを用いたメインフレームの置き換えを主眼とするのに対し、IA-32プロセッサはコスト・パフォーマンスが重視されるメインストリームのサーバや、32ビットアプリケーションを継承しつつ64ビットへの移行を図るシステムの用途が主力となる。さらに高い浮動小数点演算性能と、最大512ウェイまでのマルチプロセッサ構成が可能なスケーラビリティを生かしたハイエンドのHPC分野も、インテル® Itanium® 2 プロセッサの強みとなっている。

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用途に合った64ビットアーキテクチャの選択が今後のポイントに

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 絶対的なコスト・パフォーマンスの高さは必ずしもインテル® Itanium® 2 プロセッサの強みではないが、コスト・パフォーマンスだけがサーバシステムの評価ポイントではない。仮にそうであれば、すべてのメインフレームをIAサーバで置き換えることができるわけだが、決してそうではないことは説明するまでもないだろう。また、RISCプロセッサの置き換えという用途においては、x86(32ビット)とのハードウェア的な非互換性も障壁にはならない。

 逆に、従来型のメインフレームに対するインテル® Itanium® 2 プロセッサ・ベース・システムのアドバンテージは、多くのベンダがシステムやアプリケーションを提供するオープンアーキテクチャにある。インテル® Itanium® 2 プロセッサは、根底となるアーキテクチャの部分は、サーバベンダでもあるHPとインテルの共同開発だが、プロセッサはオープン・プラットフォームを狙い広く外販されており、HP以外のサーバベンダ、日立製作所、日本電気、富士通、ユニシス、SGI、Group Bullなどからシステムを調達できる。

 その上で稼動するOSも、HP NonStop OS、Open VMS、HP-UX、Windows Server、Linuxなど10を超えるOSから選択することが可能だ。アプリケーションも、OracleやSQL ServerをはじめとするDBMS、さまざまなERPパッケージが提供されており、その数は6000種を超えている。初期にはアプリケーション不足が指摘されることもあったが、対応アプリケーション数は2003年度に約1000、2004年度に約3000、そして2005年度には6000を超える形で年率2倍以上の成長を記録してきた。そしてこのクラスのシステムで必要とされるアプリケーションの整備はほぼ完了しつつある。

 こうした点が評価され、インテル® Itanium® 2 プロセッサ搭載システムの市場シェアは、急速に向上している。調査会社のIDCのレポート(IDC Worldwide Quarterly Server Tracker Q3'05)によると、2005年第1四半期から第3四半期のインテル® Itanium® 2 プロセッサ搭載システムの工場出荷金額ベースでは、ワールドワイドでSPARCベースのシステムの49%、POWERベースのシステムの34%に達した。国内3社がインテル® Itanium® 2 プロセッサ搭載のサーバを提供しているわが国では、さらに勢いが強く、すでにインテル® Itanium® 2 プロセッサ搭載システムの出荷金額はSPARCベースシステムの160%、POWERベースシステムの117%に達している。

 この動きをさらに加速するため、2005年9月にHP、インテルを始めとした業界有数の企業が集結しItanium® Solutions Allianceという業界団体も結成された。これはItanium®プラットフォーム上に提供されるソリューションのさらなる充実をはかるために、インテル、サーバベンダ、ソフトウェアベンダが共同で設立したもの。2006年1月には、Itanium® Solutions Allianceの参加するサーバベンダとインテルが共同で、2010年までに100億ドルを投資することが明らかにされ、日本国内に置いては2007年までに金額ベースでRISCアーキテクチャの半分を目指すことが発表された。

 この資金は、Itanium®プラットフォームの研究開発、セールス&マーケティング活動、さらにISVのサポートに使われる予定で、ミッションクリティカル分野のアプリケーションをさらに拡大することが狙いだ。100億ドルというのは巨額だが、これを上回る市場をベンダは見ている、ということなのだろう。こうした活動により、2010年にはItanium®プラットフォームを従来のメインフレームやRISCベースの市場を加速し、ミッションクリティカル分野の標準アーキテクチャにしたいと考えている。

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提供:インテル株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日

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