進化するアプリケーションの形とは――JavaOneで米Oracleクリアン・シニアVP:2006 JavaOne Conference
データベース市場を先導してきたOracle。JavaOne2日目の基調講演ではOracle JDveloper 10gを中心として、SOA、ESB、JSF&Ajax実現のためのデモが注目を浴びた。
早朝の霧に包まれた米国サンフランシスコで現地17日、開幕2日目を迎えた「2006 JavaOne Conference」。日本時間で18日0時半から始まった基調講演には、米Oracle、サーバテクノロジーデベロップメント、シニアVPのトーマス・クリアン氏が登壇した。
クリアン氏は、「The Next Application Platform」と題した講演で、今後進むべきネットワークアプリケーションの形を体系立てて説いた。
初日の基調講演で米Sun Microsystemsのジェフ・ジャクソン上級副社長が紹介したように、Java EE 5が目的としたEoD(Ease of Development)による開発の容易化、Web 2.0サポート、.NET Frameworkとの協調、SOAの実現をシンプルに行えることが2日目の基調講演でもテーマとなっていた。
クリアン氏は利用されるテクノロジーをそれぞれのアプローチごとに分類した。広範囲にネットワークサービスを見ていくことで、何を必要とすべきか、どのようなテクノロジーがかかわっているかを説くことが狙いだ。
その中でもトピックとなるところでは、無償ライセンスでダウンロードが可能な同社のIDE(統合開発環境)「Oracle JDeveloper 10g」上で実演デモを行った。同JavaアプリケーションIDEは、JavaのコーディングからUMLの設計、E/R図作成、BPELなどのコンポーネントを利用することができるツールだ。
キーテクノロジーとなったのは、Java EE 5(Java Platform, Enterprise Edition 5)の核となるEJB 3.0サポートはもちろんのこと、新機能の1つであるJPA(Java Persistence API)を利用したフレキシブルなプログラミング手法の確立、ツール上で実現するESB(Enterprise Service Bus)の開発手法紹介だといえる。ほかにも、AjaxとJSFを組み合わせることでリッチアプリケーションの実現も注目すべきものとなった。オラクルもまた、Ajaxを通してオープンソース(スクリプト)との協調を深めようとしているわけだ。
同氏は、アプリケーション実現のためのテクノロジーをさらに細分化させた。
EoD、Ajax、テクノロジーを可視化するために
サービス連携のためには、WSIF、REST、JCA、SDOが重要なもの、とクリアン氏。次に挙げたバインドテクノロジーとしては、PHP、Ruby on Rails、Grails、Spring、JSR-223にも注目しているという。
米Oracleでは、Project GlassFishへのソースコード提供はもちろん、Eclipse Foundationにもコード提供を行ってきた。各種のオープンソースコミュニティーに参加し、JDevelper 10gの一部をプラグイン化することで相互連携を実現させている。
講演内1つ目のデモでは、POJOベースの開発手法を見せて、アノテーションによる抽象化やJPAをポイントとして、SOA実現のための例をEclipse上で実演した。前述のように、Eclipseプラグイン化によって実現しているものであり、デザインツールとしてFoundationに提供するという。
2つ目のデモは、ESB実現のためにビジネス・プロセス仕様であるBPEL(Business Process Execution Language)を用いた設計実演となった。
ユーザーインタフェース実現のテクノロジーとして、クリアン氏はJSF(JavaServer Faces)を強調した(関連記事)。さらにリッチさを加えるためのエッセンスがAjaxとの連携利用だという。
3つ目のデモでは、AjaxとJSFを組み合わせることでECサイトがリッチになることを実演して見せた。
開発デモは、同社のJDeveloper上で行いiPodやXboxを商品リストへの追加、その際にはドラッグ&ドロップで商品追加、ショッピングカートのプロパティ設定もビジュアルに開発できる点を強調した。JSFが実現する特徴の1つ、ドラッグ&ドロップでVisual Basicライクに開発ができること、Ajaxによって商品写真にエフェクト効果を与えられることが相乗効果となっている。
開催3日目には
なお、明日のJavaOne開催3日目には、米IBM、Rational Softwareのエリック・ガンマ氏による基調講演を始め、GNU/LinuxとOpenSolarisにJava SE 5を同梱再配布可能となったJDL(Java Distribution License)などについて、サイモン・フィップス氏の会見などが予定されている。
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