「強い現場」の上に「すぐれた経営」が必要:Oracle OpenWorld Tokyo 2009
22日から24日まで、東京国際フォーラムで「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」が開催される。初日の基調講演で日本オラクルの遠藤隆雄 代表執行役社長は厳しい環境下でのイベント開催の意義について語った。
一時は開催を迷った時期も
ここから結びつく。そして動き出す。これが今回のイベントのテーマタイトルだ。「逆境が経営基盤強化への回帰を生み、そこから新たなイノベーションが加速する 」と題された基調講演で遠藤社長は冒頭次のように述べた。
「100年に一度の経済危機という環境下で、今回のようなイベントを開催するのは妥当かどうか、と迷った時期もあった。しかし、こうした時期だからこそ、明るく元気に開催するべきだ、それこそオラクルらしい判断ではないか、と各方面からご意見をいただき今日を迎えることになった。あらためて、開催してよかったと思っている」
今回共催スポンサーは57社に上る。予定していたパートナーは1社も欠けることなく開催日を迎えたことを遠藤社長は強調した。
「このイベントは共催の形を取っている。オラクルが情報を一方的に発信するのではない。主人公は参加者、そしてパートナーだ。いまこそ横で連携しあって、新しい世界を作りたい。つまり会社や組織に閉じこもるのではなく、そうした枠組みを越えた新しい連携関係が大切な時代になったということだ」
遠藤社長は厳しい経済環境の下での経営のかじ取りについても触れた。
「もともと世の中というのは不確実なものだ。経営において、戦略を立案し、具体的な戦術として展開していくのはとても大変なこと。それがこの経済環境の悪化でますます混迷を深めることになった。どの企業も自社の生き残り戦略はどうあるべきなのかということを真剣に考えている。時代がどんなに不確実で、不透明でも、ノンコアの事業を整理し、より経営資源を集中していかなくてはならない。変化を先取りして、リスクを回避していくわけだ。顧客の期待を素早く理解して、正確に応えていくことが経営の原点。それを実現する最後の鍵になるのは、人の意識とスキルだと思う」
経営戦略に即応するITを紹介
遠藤社長は、あらためて経営、マネジメント層の重要性について話す。
「日本企業はもともと現場の能力が高い。これまで起こった不況も現場のさまざまな活動、取り組みによって乗り切ってきた側面がある。つまりオペレーショナルエクセレンスが抜きん出ている。しかし、いま現場はグローバルに展開し、そこに厳しい風が吹き込んでいる。つまりこれまでの経験則では対応しきれない事態が発生しているということになる。だからこそ、経営の力が重要になってくる。マネジメントエクセレンスが企業の命運を握る時代になったということだろう。これからのエクセレントカンパニーは、オペレーショナルエクセレンスの上にマネジメントエクセレンスが加わった企業なのだ。経営サイドが変化に柔軟に対応し、シミュレーション能力を発揮して正しいかじ取りをしていくことが大切になってくる」
しかし、実際には柔軟な経営も現場のオペレーションも置き去りにされ、「漂流」してしまう企業も少なくない。遠藤社長は変化に一番対応できないのは、人とITだと話す。
「多くの経営者が『新しい事業領域への挑戦やビジネスモデルの転換を図ろうとしてもIT部門では、2年待ってくれ、再来年には間に合う、などという反応が返ってくる』と語っている。何か新しいことを迅速に実現しようにもこれでは身動きができない。そうした問題を打破する製品をそろえている。データベース製品である11gを始め、基幹系からあらゆるサービスをサポートする製品、ソリューションがどのように活用されているかを今回のイベントで紹介していきたい。ユーザーとパートナー、そして当社が力を合わせて取り組んだ成果を見ていただき、来場された皆さんのヒントになればと願っている」
今回は40社の事例が各セッションで紹介されるという。
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