場の管理をマスターし、目指せオフィス潤滑油!:「脱KY」を図る情報コントロール術(3/3 ページ)
会社の業績がかんばしくないと、オフィスの雰囲気も沈みがち。ややもすると、指示がうまく伝わらないだけでなく、関係部署と険悪になってしまうことすらある。それを防ぐためには「場のデザインのスキル」が重要になってくる。なぜなら人はコンピュータと違って「命令を忠実に実行しない」ものだから――。
「ファシリテーション」のマスターを目指そう
ちなみに場を構成する要素には、情報と環境の2種類がある。情報は、掲示板のコメント自体のほかに、その前後で周囲から取り入れた情報などが影響する。例えば、ほかの掲示板で「不況」とか「上場企業の8割が赤字予想」なんて記事があれば、社長が「もっとがんばろう!」とノーテンキにいっても無駄なわけだ。グループウェアを活用していても、ポータルのグラフが右肩下がりで、部内の社内メールでは「○○くん、今月はまだ目標に達してないね」といわれ、全社掲示板で社長が危機感をあおれば、本人が何を感じるかは想像に難くない。
そして、こういう場合、さらに環境が悪い方向へと作用する。環境には「周りの気持ち」と「コミュニケーションする手段」が含まれるが、情報面で悪い情報と自分ができてない感を散々打ち込まれたときに、社内の気持ちがいい方向へ向くはずがない。そういう場合には、次第にオフィシャルな場での発言は控えるようになり、コミュニケーションは一方的になる。そして、我慢の糸が切れた場合だけ思い切りネガティブ発言するものだから、さらに場が荒れる――という具合に、わたしがやや理詰めに説明すると……。
A夫 だったら、グループウェアなんてない方がいいじゃん!
……といわれてしまった。このままでは、何の問題解決にもならないばかりか、自分の商売まで否定されてしまいかねない。昼ごはんを食べながらで、ゆるい気分ではあるのだが、ちょっと気合を入れて説明を続ける。
わたし あのさ、ファシリテーションって知ってる?
A夫 ああ、会議の進行とかの技術でしょ。
わたし そんな感じ。人の活動がスムーズにいくように舵取りすること。この技術は通常は会議で使われるスキルとして認知されていることが多いんだけど、電子会議にも使える技術なんだ。ファシリテーションを理解すれば、グループウェアの場のコントロールもできると思うよ。
ファシリテーションは、もっとも狭義には、「会議を効率的に行うための働きかけ」を意味し、円滑に会議を運営し、議事の進行プロセスを管理することを指す。反対に広義にとらえると「組織による創造、変革、問題解決、合意形成、学習などを支援し促進させる働き」となって、企業全体の成長を支える組織運営にも影響をおよぼす。
もちろん、そこまでいくには奥が深くて容易にはマスターできないし、ファシリテーションを極めた人が日本を動かしたという事例も聞かないので限界はあるのだろうが、グループウェアを通したコミュニケーションには、環境が限定されている分、リアルの会議やコミュニケーションより効果的だろう。
A夫 電子会議の「場」をコントロールするのにも使えるのかい?
わたし もちろん。ファシリテーションに求められる4つのスキルの最初に書かれているのが、「場のデザインのスキル」なんだ。ポータルや会議室といった環境を整えるだけでも、ずいぶんと議論の雰囲気は変わるもんなんだよ。
……もっと詳しく「場のデザインのスキル」について教えたいところだけど、昼休みはもう終りだし、次の打ち合わせも迫っている。
わたし 今日は時間がないから、また次回。あ、そうそう、ここはゴチになっていいよな!
そんなわけで、次回はグループウェアを活用した「場」のデザインについて語りたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
オルタナブログ通信:新社会人へ、オルタナブロガーから贈る言葉
ビジネス・ブログメディア「ITmedia オルタナティブ・ブログ」では、日々200組近くのブロガーが、ITにまつわる時事ネタなどを発信している。今週は「新社会人」「Twitter」「クラウド」「iPhone」をテーマに紹介する。
わが社のコスト削減:外資ソフトが攻勢、「国策」定額給付金の支給管理にも
山梨県甲府市は3月、定額給付金支給管理システムにセールスフォース・ドットコムのサービスを採用した。SAPや新興BIの新たな動きが出てくるなど、ここにきて外資系ソフトウェアベンダーの攻勢が目立つ。
薬局はサービス提供の場、ソフトウェアが効率化を実現
医療機関に経営コンサルティングを提供するネグジット総研は、保険薬局の店舗経営を支援するツールを開発した。フィードパスの「サイボウズ デヂエ for SaaS」をカスタマイズしたこのツールは、店舗間のコメント機能などを生かし「考える経営」を実現する。
新米記者が行く:突撃! IT企業のノベルティ
1年間、「IT業界のノベルティ」を追い続けた新米記者が、ノベルティ業界の最新動向を紹介します。
サービス開発で生き残るベンダー:「誰でも使えるクラウド」を作る――サイボウズ、今夏にクラウドを新展開
サイボウズは小規模企業などを対象としたクラウド型サービスを打ち出すこと明らかにした。グループウェアの機能を絞ってSaaSとして提供することで、グループウェアの導入が進んでいないSOHOなどの企業を取り込む。主力のパッケージソフトに加え、ネットサービス事業を新たな収益源にする構えだ。
40人規模の体制に:サイボウズ、グループウェア開発部門を松山市に集約へ
サイボウズは、松山市にWebグループウェア「Office 8」の開発部門を移設し、「サイボウズ デヂエ 8」と連携した開発体制を構築する。
そろいのハッピで不況を打破?:ユーザー企業はグループウェアの必要性を認識――「CYBOZU AWARD 2009」
サイボウズは2008年度に高い導入実績を挙げた企業を「CYBOZU AWARD 2009」で表彰。受賞企業は「不況の中でも、ユーザー企業はグループウェアの必要性を認識している。決してIT投資の意欲は低くない」とコメントした。
Lotus Spring Forum 2009 レポート:クラウド化したLotusで未開拓市場を掘り起こすIBM
Lotusの機能をネットワーク経由で提供する「LotusLive」をぶち上げたIBMは、2009年の中旬以降に同サービスを国内でも提供する。LotusLiveは、IBMがこれまで開拓しきれていなかった中小規模の企業を取り込む可能性がある。
情報漏えい対策にも配慮:富士フイルムと富士ゼロックス、携帯電話でビジネス文書を利用する新サービス
富士フイルムと富士ゼロックスは、社内のデジタル文書を携帯電話で利用する「beatケータイリモートサービス」を始めた。
豆まき、恵方巻きのパフォーマンスも:節分に「不況の鬼」を追い払え! サイボウズが新版発表
主力グループウェア製品の最新版を販売開始するサイボウズ。同社自身、「100年に一度の不況を乗り切るため生き残りをかけたバージョンアップ」と位置付ける。発表会場には不況に見立てた鬼も登場。「鬼は外!」の掛け声とともに豆をぶつけるパフォーマンスも行われた。
