企業の間でIaaSの普及が拡大――Yankee Groupの調査
クラウドを利用している大企業の24%が既にIaaSを利用しており、37%が2年以内にIaaSを採用する計画だ。
米調査会社Yankee Groupの最近の調査によると、企業の間でIaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)の普及が急速に進んでいるようだ。
「Is IAAS Moving Beyond Just Cloud Fluff?」(IaaSは単なるクラウドブームだけで終わらない?)と題されたYankee Groupの報告書によると、クラウドの利用経験がある大企業の24%が既にIaaSを利用しており、37%が24カ月以内にIaaSを採用する計画だ。この報告書は、従量課金型のインフラソリューションであるIaaSの普及状況に関してYankee Groupが実施した調査「Anywhere Enterprise: 2010 U.S. Cloud Computing FastView Survey」の結果に基づくものだ。
クラウドインフラサービスすなわちIaaSは、コンピューティングインフラ(一般にプラットフォーム仮想化環境)をサービスとして提供するというもの。顧客はサーバやソフトウェア、データセンターのスペース、ネットワーク機器、クライアントなどを購入するのではなく、これらのリソースをフルアウトソーシングサービスとして購入する。一般に、このサービスではユーティリティコンピューティング方式に基づいて課金され、使用したリソース量(すなわちコスト)は通常、利用の度合いを反映したものとなる。IaaSサービスとして最も有名なのがAmazon Web Services(AWS)だ。
Yankee Groupは今回の調査で、米国企業のIT意思決定者400人余りから回答を得た。調査では、クラウドコンピューティングに関するこれらの企業の計画について53項目の質問が行われた。調査の主要な結果を含めたクラウドコンピューティング関連データは、同社のサイトから無料でダウンロードできる。
Yankee Groupのリサーチフェローで今回の報告書を作成したサンドラ・パルンボ氏は「企業の間でIaaSの利用に対する意欲は高いが、IaaSソリューションおよびプロバイダーが克服すべき障害がまだ残されている」と発表文で述べている。「IaaSの採用を計画する企業が増える中、サービスプロバイダーやシステムインテグレーターはそれぞれのソリューションを強固にするとともに、クラウドをめぐる懸念に対処する必要がある」
今回のYankee Groupの調査では、企業がIaaSを利用する上で最大の障害となっているのが、仮想化に伴うセキュリティであることが示された。しかし既にIaaSを利用している企業は、法規制へのコンプライアンスの改善、データ移行、信頼性、従業員による利用、量的メリットといった面での恩恵を考えれば、IaaSを採用する価値があったとしている。
さらに今回の調査では、24カ月以内にIaaSを採用することを検討している企業のうち60%が、実際には12カ月以内に採用を予定していることも明らかになった。また、クラウド利用企業全体の中では、クラウドコンピューティングで最も信頼できるパートナーがシステムインテグレーターだと考えている企業が最も多かった(29%)のに対し、既にIaaSを利用している企業の間では、クラウドサービスを提供するのに最も適した立場にあるのは通信事業者だという答えが多かった(33%)。
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