「Intel 6」チップセット問題、PCメーカー各社対応へ
Dell、Samsung、Acerなど、問題が見つかったIntel 6シリーズチップセットを採用しているPCメーカーは、修理や交換などの対応プランを検討している。
PCメーカー各社は、Intelのチップセットの問題にどう対処するかを練り始めている。
Intel幹部は1月31日に、同社の「Sandy Bridge」Core iプロセッサに対応するチップセットに設計上の問題があり、リコールしなければならないと発表した。これによる売り上げの逸失と関連費用はで10億ドルに上る可能性がある。修正版のチップセットのリリースは2月後半にまで遅れ、フル生産は遅くて4月になる可能性がある。
問題のあるチップセットはこれまでに約800万個出荷されたが、消費者の手にはほとんど届いていないだろうと同社幹部は語る。同社は30日に問題のチップセットの出荷停止を決定し、翌日PCメーカーとの協議を始めた。
PCメーカー各社は製品ロードマップから顧客対応まで、この問題に対処するための戦略を策定しているところだ。Samsung Electronicsは欠陥のあるチップセットを搭載したPCの購入者に全額返金すると、同社広報担当のジェームズ・チュン氏はWall Street Journalに語っている。同氏は、6機種(米国向けの1機種含む)にIntel 6シリーズのチップセット(「Cougar Point」とも呼ばれる)が搭載されており、3000台以上が売れたとしている。同氏は、Intelが交換コストを負担するだろうと話す。
Dell、Acer、NECなどほかのPCメーカーも、選択肢を検討している。Acerの広報担当者は、Cougar Point搭載のモデルを最近小売店に出荷し始めたとしている。現在は小売店と協力して、これらPCが顧客に販売されたかどうかを確認中だという。
「Intelと協力して、問題のあるパーツを搭載したシステムを修理する。消費者への影響や、回収が必要な場合のプランについては2月2日中に新たな情報を提供できるだろう」とこの担当者はeWEEKへの電子メールで説明している。「Sandy Bridge搭載モデルはまだローンチサイクルの初期の段階にあるため、Acerと顧客への影響は小さいと見込んでいる」
Dellの広報担当者は、影響を受ける同社の製品は「XPS 8300」「Vostro 460」「Alienware M17x R.3」「Alienware Aurora R.3」の4機種としている。さらに3D対応の「XPS 17」などリリース予定の3機種にも影響がある。
「DellとIntelはこの設計の問題について話をしている」とDellの広報担当者はeWEEKへのメールで述べている。「影響を受けるシステムを購入した顧客の懸念に対応するべく動いている」
Hewlett-Packard(HP)の広報担当者は、2月1日に声明を発表するとしている(訳注:声明文はまだ出ていないもよう)。
この問題の影響で、Appleの「MacBook Pro」の次期モデルのリリースも遅れるかもしれないと報じられている。アナリストは、このモデルにはIntelのSandy Bridgeが搭載される可能性があるとしている。
Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏は、Intelにとって今回の問題は「比較的小さな問題」だと語る。問題は早い段階で見つかり、1月に販売された、ミッドレンジからハイエンドのCore i5とi7を搭載した消費者向けPCにのみ影響する。
「対応コストは小さくはないが、Intelのように採算性の高い企業には相対的なものだ」とキング氏はeWEEKへの電子メールで述べている。「(AMDなど)Intelのライバルの喜びは比較的短い間しか続かないだろう。PC業界は数週間で通常運転に戻るとみている」
だが、「消費者の交換・修理支援、未出荷の在庫品の処分・修理の両方において、矢面に立つ」のはPCメーカーだと同氏は指摘する。同氏は、IntelはPCメーカーが対応にかけた時間と費用を埋め合わせるだろうと語る。
Intelは32ナノメートルプロセスを使ったSandy Bridgeプラットフォーム――第2世代のCore iプロセッサ――を1月初めのConsumer Electronics Show(CES)で発表した。Sandy BridgeはディスクリートGPUレベルのグラフィックス技術をCPUと同じダイに統合し、同じくCESで立ち上げられたAMDのFusionプラットフォームに対抗している。
Intelは31日のアナリストと報道向けの電話会見で、Sandy Bridge自体には問題はなく、6シリーズチップセットだけの問題だと語った。同社によると、チップセットのSATAポートに設計上の欠陥があり、SATA HDDや光学ドライブなどのPCコンポーネントのパフォーマンスに問題が起きる可能性がある。
Intel幹部は、6シリーズチップセットは同社の品質テストにも、OEMのテストにも合格したと語る。だが出荷を始めてから、同チップセットの一部について苦情があった。Intelは先週再びテストを行い、エンジニアが問題を発見してフィックスを開発した。同社は、この問題は製造された6シリーズチップセットのうち5〜15%に影響するとしている。
Endpoint Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は31日にeWEEKに、この状況は「直接財務に影響する技術的な問題」と語った。少なくとも短期的に恩恵を受けるのは、AMDという。同社の株価はIntelの発表後上昇しており、また同社はIntelとのSoC(システム・オン・チップ)での競争で少し有利になる。AMDのFusion APU(Accelerated Processing Units)もまた、1つのダイにグラフィックス技術とCPUを統合している。
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