瞬時にビジネス分析結果を導く「Exalystics」 エリソンCEOが発表:Oracle OpenWorld San Francisco 2011 Report
米Oracleの年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2011」が開幕。初日夜に行われたオープニングセッションでは、同社の主力製品である「Exadata」「Exalogic」に続く、新たなシリーズ製品が発表された。
10月2日(米国時間)の夕暮れ、今年で15回目となる米Oracleの年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2011」が米・カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターで開幕した。昨年に引き続き、Java技術者向けイベント「JavaOne 2011」との同時開催ということで、ダウンタウンのホテルは早々にすべて満室となり、参加者は4万5000人以上、オンラインでの参加者は10万人以上という数字を見込んでいる。
翌日からの本格的なカンファレンス開催を待たずして、オープニングセッションに登場したのはOracleのラリー・エリソンCEOだ。今年のOracle OpenWorldでもさまざまな新製品や新サービスの発表が予定される中、同セッションの目玉としてエリソン氏が満を持して発表したのが、BI(ビジネスインテリジェンス)向けシステム製品の「Exalytics」である。
第3の「Exa」シリーズが登場
数年来、Oracleはデータベースマシン「Exadata」や統合型ミドルウェアマシン「Exalogic Elastic Cloud」といった“エンジニアド・システム”をリリースし、市場拡大に注力してきた。エンジニアド・システムとは、Oracleが提唱する新しいブランドカテゴリで、ソフトウェアとハードウェアを開発段階から融合させている製品を指す。Exadataは全世界で1000台以上導入されており、今年度は3000台以上を目標としている。Exalogicも販売面でExadata以上に急成長を遂げているという。
これらの製品の大きな特徴が、データ処理速度の高速性である。フラッシュメモリや高速DRAMの採用、InfiniBandの利用などによって、それを実現している。また、DBサーバ、ストレージ、スイッチなどすべてを並列化することによって、障害に強いシステムを作り上げている。
こうした“哲学”を踏襲したExalyticsは、インメモリ型データベースのBI製品で、SAPの「HANA」が競合製品として位置付けられる。1テラバイトのDRAM(Dynamic Random Access Memory)を持ち、40コアのプロセッサがデータの並列処理を行うほか、200ギガバイトのハードウェアを1秒間でスキャンするExalyticsに対し、エリソン氏は「あらゆるデータ分析が瞬時で完了する実力」と力を込める。
また、必ず正しい答えを導くわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる「ヒューリスティック(heuristic)」という方法論を実装。同じ検索を行った場合は、メモリにデータを蓄積して常に学習していくため、例えば、ある企業のビジネス分析をする際に、企業名のアルファベットを数文字入れただけで分析結果を表示できるほどのスピードを体現できるという。
Exalyticsは、BIプラットフォーム「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition(OBIEE)」や、インメモリデータベース製品「TimesTen」、多次元データベース「Essbase」といった、Oracleの従来製品との連携も可能。例えば、Exadataをデータソースに活用した場合、既存のBI製品と比べてクエリのレスポンス速度は23倍にも上るという。
Exalyticsの詳細については、カンファレンス2日目以降、明らかになっていく予定だ。
陽はまた昇る
また、オープニングセッションの中で、エリソン氏は先週発表した汎用エンジニアド・システム「SPARC SuperCluster T4-4」について言及し、改めてIBMのサーバプラットフォーム「POWER System」などへの対抗心を示した。
「T4サーバは従来製品と比べて性能が5倍向上した。(次世代機種の)T5ではさらに倍になる見込みだ。IBMに追いつけ、追い越せでここまで来れたのは、Sunのエンジニアチームの頑張りがあったからこそだ」とエリソン氏は、昨年1月に買収完了した米Sun Microsystemsとのシナジー効果を強調したほか、今後も継続的な投資を続ける考えを示した。
「Sunを買収したとき、Sunはもう終わりで、沈んだと言われた。しかし、Sunはなくてはならない。陽はまた昇るのだ」(エリソン氏)
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