クラウドが変えるクルマの未来、IBMはBlueMixでPaaSのオープン化を推進:IBM Pulse 2014 Report(3/3 ページ)
ラスベガスのMGMグランドホテルで「IBM Pulse 2014」カンファレンスが開幕した。「プレミア・クラウド・カンファレンス」として装いも一新、規模も1万人超へと膨れ上がっている。IBMは、「クラウド」こそがコンピューティングの未来だとし、大きく舵を切ることを改めて宣言した。
ルブラン氏は、同社がマサチューセッツ州ボストンに本社を置くDBaaSの新興企業、Cloudantを買収することで合意したことも明らかにした。Apache CouchDBプロジェクトをベースとしたNoSQLでかつ分散型のデータベース機能やモバイルデバイスの同期機能などが既にSoftLayer上でサービスとして提供されており、開発者はAPIを呼び出すだけで、増え続けるモバイルデータに対応したアプリケーションを簡単に開発できるようになるという。
また、このPulseでは、IBM Power SystemsがSoftLayerのクラウド基盤として採用され、WatsonソリューションやDB2 with BLU AccelerationやCognosなどの分析ソリューションがAPIベースのパワフルなサービスとして利用できるようになることも明らかにされている。
ロックインされないオープンなクラウドへ
繰り返しになるが、BlueMixはCloud Foundryをベースとしているため、開発したアプリケーションが特定のクラウドベンダーにロックインされてしまう懸念もない。顧客は将来に渡り、安心してPaaS活用に取り組むことができるほか、Twilioのようなパートナーらの多くの参画、つまり「与力」も期待できる。
IBMは昨年のPulseカンファレンスで「IBM Open Cloud Architecture」を発表し、SmarterCloud Orchestratorをはじめとする同社のすべてのクラウド製品を「OpenStack」ベースにしていくことを明らかにした。このOpen Cloud Architectureは、いわゆるIaaSからPaaS、SaaSに至るまでクラウド全体を細分化されたオープンなテクノロジーで構成できるようにする全体像。IBMの製品であるSmarterCloud Orchestratorは、IaaSのオープンソースであるOpenStackを実装したことで、コンピュート、ストレージ、ネットワークといった、プール化された資源をプライベートやパブリックを問わず、標準的な手法で統合管理できるようになるほか、PaaSの領域ではOASIS TOSCA標準をサポートするため、「仮想パターン技術」を利用して複数サーバからなるトポロジーの展開や非機能要件の管理も自動化できるようになる。
この1年、IBMはCloud Foundryコミュニティーへの貢献も積極的に行ってきた。プロジェクトのオーナーがVMwareとEMCが設立したPivotalであるため、コミュニティー・アドバイザリー・ボードの設置を提案し、よりオープンな議論を通じてガバナンスに努めてきたが、今回のPulseカンファレンスでは、これをさらに踏み込み、「Cloud Foundry Foundation」をPivotalをはじめとするほかのメンバーらとともに設立し、ボードメンバーとしてプロジェクトを推進していくことも明らかにした。
IBMでグローバルテクノロジーサービス事業とクラウドサービス事業を統括するエリック・クレメンティ上級副社長は、「オープンこそ、顧客に真のITの価値をもたらすものであり、パートナーにも機会をもたらす」と話す。
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