新設クラウドセンターと海底ケーブルに懸ける沖縄IT産業:アジア企業の需要を掘り起こす!(2/2 ページ)
大規模なクラウドデータセンターの開設を間近に控える沖縄。首都圏とアジアを結ぶ国際海底ケーブルの陸揚げにも注力する。これまでのような単なるバックアップ拠点からの脱却を図る沖縄IT産業の今を、県のIT産業政策トップが語る。
アジア企業の4割以上が事業拠点として沖縄に関心
課題解決だけではない。国際海底ケーブルの整備は、沖縄のIT産業において新たなビジネス創出の機会ももたらすのだという。沖縄県が国内外の約2000社に実施したアンケート調査によると、約21%に当たる427社がこの新たな通信インフラの活用と、それに伴う沖縄への立地を検討したいと回答した。特にアジア企業からの注目の高さが鮮明になった。
沖縄への立地意向について、首都圏企業全体で4.2%の割合だったのに対し、香港企業は45.2%、シンガポール企業は45.8%となった。また、通信インフラの利用意向については、首都圏企業が4.9%、香港企業が42.5%、シンガポール企業が32.3%だった。小嶺氏は「アジアの反響の大きさに驚いた。多くの日本企業はバックアップ拠点として沖縄を検討しているが、香港やシンガポールの企業は、バックアップセンターよりも、実際に事業を展開する場所として沖縄を見ている」と力を込める。
物流の世界では、既に沖縄がアジアにおける貨物の物流ハブとして機能し、存在感を高めている。国際海底ケーブルおよびクラウドデータセンターの整備によって、「ITの世界でも沖縄がそうしたポジションを確立していくべきだ」と小嶺氏は意気込む。
地場の企業よ、奮い立て!
ただし、ITインフラ基盤を整えただけで満足するのではなく、それらをうまく活用して経済効果を上げなければ意味がない。例えば、沖縄クラウドデータセンターのユーザー獲得などの営業活動に対して沖縄県はどのように取り組んでいくのか。
小嶺氏は「ハード、ソフトを含めた基盤や環境を整備するのが行政の仕事。その土俵に乗っかり、ビジネスを推進するのは沖縄県内の企業の役割だ」との見解を示す。
これまでは沖縄県がIT産業基盤を構築できていなかったため、企業を直接支援することも少なくなかったという。しかしながら、本来は企業自らがビジネスを推進すべきだという観点から、そのための基盤となる沖縄クラウドデータセンターを設け、新たな海底ケーブルを構築するなどして舞台を用意した。
「今までは手取り足取り面倒を見てきた感があるが、それが企業のブレークスルーの妨げになっていたのかもしれない。雇用を含めて貢献しているのは誘致した県外企業ばかりで、県内企業はほとんどブレイクしていない。仲井眞弘多知事も同じ認識を持っていて、地元のIT企業をブレイクさせるように言われている。ここまで環境を整備したので、そろそろ出番ではないのか」(小嶺氏)
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