Googleの親会社Alphabet、売上高は好調もFiberなどへの投資がかさみ純利益は予想を下回る
Alphabetの1〜3月期の決算は、売上高は17%増の202億2570万ドル、純利益は20%増の42億700万ドルの増収増益だった。モバイル広告が好調だった。
Googleを傘下に持つ米Alphabetは4月21日(現地時間)、第1四半期(1〜3月)の決算を発表した。AlphabetはGoogleが組織再編で設立した持ち株会社で、前四半期からGoogleとその他の傘下企業の業績を分けて開示している。
Alphabet全体の売上高は前年同期比17%増の202億2570万ドル、純利益は20%増の42億700万ドル(1株当たり6.02ドル、非GAAPベースでは7.50ドル)だった。売上高はアナリスト予測(165億7000万ドル)を上回ったが、非GAAPベースの純利益はアナリスト予測の7.96ドルを大きく下回った。
AlphabetおよびGoogleのCFO(最高財務責任者)であるルース・ポラット氏は業績発表後の電話会見で、売上高の好調には主にモバイル広告が貢献していると語った。同社は広告収入の内訳は発表しない。また、Google Fiberのためのデータセンター建設や従業員の急増がコストを増大させたと説明した。同社の従業員数は前年同期より8696人増え、6万4115人になった。新規採用のほとんどがエンジニアという。
Googleのサンダー・ピチャイCEOは、機械学習と人工知能(AI)の開発が、同社成長の原動力の1つであると語った。
Googleの売上高は前年同期比17%増の200億9100万ドルで、Alphabet全体の99%を占めた。営業利益は21%増の62億7200万ドル。提携企業に支払う手数料(TAC)を除く実質的な広告からの売上高は16%増の180億2000万ドルだった。検索と連動した広告の伸びを示すペイドクリック数は3%減少。モバイル端末の普及とYouTubeのTrueView広告の影響で下落が続いているクリック単価(CPC、クリックごとに広告主がGoogleに支払う単価)は横ばいだった。GoogleのWebサイトでのCPCは、数四半期ぶりにプラス(2%増)になった。
アプリストア(Google Play)やNexus端末などのハードウェアが好調で、売上高は24%増の20億7100万ドルだった。
その他(Other Bets)の売上高は前年同期の約2倍の1億6600万ドル、営業損失は8億200万ドルだった。前年同期の営業損失は6億3300万ドル。Google Fiberの設備投資と従業員への株式報酬のコストが大きかった。その他に含まれる企業別の内訳は公表されていないが、ポラット氏はGoogle Fiber、Nest、Google Fiber、Verily(旧Google Life Sciences)が売り上げに貢献したと説明した。
ピチャイ氏は、AlphaGoの活躍に触れ、「何かを成し遂げるには投資が必要だ」として“ムーンショット”への投資を今後も精力的に続けると語った。
Googleに含まれる事業は、検索、広告、Googleマップ、YouTube、アプリ、クラウドサービス、Android、Chrome、Google Play、ハードウェア(Chromecast、Chromebook、Nexusなど)、技術インフラ、VR(仮想現実)事業。「その他」にはGoogle Fiber、Nest、Calico、Verily、GV(旧Google Ventures)、Google Capital、X(旧Google [X])、Jigsaw(旧Google Ideas)などが含まれる。
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