「脱Excel」か「まだExcel」か――その選択のポイントとは?:セルフサービスBIの「光と闇」(前編)(3/3 ページ)
企業のデータ活用において「セルフサービスBI」を導入するケースが増えてきているが、その成否は二分しているのが現状だ。その理由はどこにあるのか。今、あらためてBIを取り巻く環境をガートナーの堀内氏に解説してもらった。
独自路線を進む「Power BI」
注目が集まるとともにプレイヤーが増えたBI市場だが、2015年にマイクロソフトも本格的にセルフサービスBI市場に参戦したこともあり、製品の選択肢は増え続けている。一元管理型BIとセルフサービスBI、両者はシナリオも違えば売り方も異なるが、マイクロソフトが提供する「Power BI」はさらに違うアプローチを取っていると堀内氏は解説する。
「マイクロソフトはBIを単体で売ろうとは考えていないとみています。過去にはSQL Serverの付加機能としてBIを提供していた時期もありました。データベースを導入した流れで分析機能を付け、フロントのExcelまで含める“全部売り”です。今はPower BIをOffice 365の拡張機能という位置付けで提供しています。
彼らからすれば、Power BI Designerを無料で提供するだけでは大きなメリットはありませんが、Designerでダッシュボードを作って社内で提供しようと思えば、自ずとOffice 365を使うことになります。マイクロソフトは『特別なBIツールを買わなくてもここまでできる』という見せ方をしているわけです」(堀内氏)
Power BIと一般的なセルフサービスBIを比べると確かに機能に大きな差異はない。こうした製品を比較するときは、ツール自体や機能の比較に目が行きがちだが、それだけでは本質を見誤ると堀内氏は注意を促す。
「Power BIを入れるか入れないかというのは、要するにマイクロソフトのOfficeという全体的なシステムに賛同するかどうかというのに等しいです。Office 365を使おうと検討しているなら、他のBIを見る前にPower BIを検討する方がいいですよね。表を作ってマルバツを付けて比較すればいい、という問題ではなくなってきているのです」(堀内氏)
それでは、情報システム部門はどのような視点でBIツールを選定すればいいのか。堀内氏は、次期の情報活用基盤や情報活用の体制を考える中でツールを選ぶ必要があると話す。
(後編に続く)
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