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VRで南海トラフ巨大地震に備える JR西日本 和歌山支社の運転士が取り組む訓練とは(2/2 ページ)
JR西日本の和歌山支社が、南海トラフ巨大地震とそれにともなって発生する可能性がある津波への対策として、VRシステムを使った訓練を導入する。運転士を中心に、乗務員にリアルな疑似体験を繰り返して対応力や判断力の向上を図る。
VRのリアルな疑似体験で判断力・対応力をみがく
KDDIは、今回のソリューションの導入にあたって、「有事の際の疑似体験を繰り返すことで、平静さを保ち、冷静な判断が可能なメンタルを育成できる」「判断基準となる情報を集約し、実写動画を連動させて見える化することで対応力・判断力を育成可能」という点を利点としている。
VR映像は、10台のGoProで撮影した9K 60fpsの映像を元に、運転士視点の高精細な6K 60fpsのVR動画を作成した。これは避難所の場所を示した架線柱の看板などをはっきりと視認できる必要があるため。また画面内に標高や浸水深、地震発生からの時間などの情報が表示できるほか、業務用のiPadにインストールされている津波避難アプリのマップなども参照できるようにしている。
避難行動の演習コンテンツを体験(KDDI提供)
地震・津波発生疑似体験の様子(KDDI提供)
国内の鉄道97社のうち、37社が津波による浸水を想定している線区があり、過去1年以内に津波警報灯発表時の避難誘導訓練を実施している会社が11社あるなど、津波を想定した避難誘導訓練は一定の頻度で実施されているとKDDIのビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は指摘。どの程度の撮影が必要か、どのようなコンテンツにするかなどで導入価格は大きく変わるというが、「災害対策以外にも、リアルな疑似体験が可能なので、さまざまな訓練などに応用してもらいたい」と期待を寄せた。
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