Windows 10 Creators Updateで、UWPアプリへのシフトが加速する:Enterprise IT Kaleidoscope(1/2 ページ)
そろそろ配信が始まると予想される「Windows 10 Creators Update」では、古いWin32ベースのアプリケーションソフトのインストールを制限する機能が提供される。企業向けには、別のストアを用意できるようになっている。
Windows 10 Creators Update(以下Creators Update)では、デスクトップ アプリケーション(Win32ベースのアプリケーション)のインストールを制限する機能が追加された。
現在Windows 10では、各WebサイトやDVDドライブなどからアプリ(やアプリケーション)をインストールする方法と、WindowsストアからUWP(Universal Windows Platform)アプリをインストールする方法の両方をサポートしている。つまり、どこから入手したアプリであっても、そのままインストールできる。
しかしCreators Updateでは、アプリの入手先によって、インストールを制限したり、警告を出したりする設定が可能になった。
「設定」→「アプリと機能」からアプリの入手先を「任意の場所のアプリを許可する」「ストア以外からアプリをインストールする前に警告する」「ストアのアプリのみ許可する」という3つのオプションが用意された。デフォルトでは「任意の場所のアプリを許可する」になっているため、基本的には今までと同じ使い勝手で、どんなアプリもインストール出来るようになっている。
Windows 10 Creators Updateでは、アプリの入手先をコントロールすることができる。ストアからのUWPアプリしかインストール出来なくすることもできる(画面はInsider Previewのもの)
Creators Updateでこのようなオプションが用意されたのは、今後MicrosoftがWindows 10においてWin32アプリケーションのインストールを制限し、アプリの入手元を「ストア」だけに制限しようと考えているからだ。
UWPアプリとWin32アプリケーションでは、アプリの開発スタイルやメソッド自体が異なるが、昨年Win32アプリケーションをUWPアプリ(AppX)として動作させるためのツール「Desktop App Converter」(以下DAC)を開発者向けに公開した。DACは、Win32アプリケーションをそのままコンテナ化して、UWPアプリとしてパッキングする。このため、Win32アプリケーションをそのまま、UWPアプリ化できる。つまり、Win32アプリケーションをストアに登録して、インストールできるようにしているわけだ。
Microsoftでは、Win32アプリケーションをできるだけUWPアプリ化する方針を示している。DACで単純にUWPアプリ化するだけでなく、段階を経て、UWPのフル機能を使ったアプリにアップグレードしていく(MicrosoftのWebサイトから引用)
Win32アプリケーションのUWPアプリ化では、単純にUWPアプリ化するだけでなく、ストアに登録したり、UWPのフル機能を使えるようにプログラムを変更していく(MicrosoftのWebサイトから引用)
ファイルコピーなどでフォルダにインストールされるWin32アプリケーションの場合は、アプリケーションが動作するためのファイルをDACにかければ、簡単にUWPアプリ化できる。
MSI(Windows Installer)形式のWin32アプリケーションの場合は、システムフォルダにさまざまなプログラムをインストールするために、DACがWindows Installerでインストールするプログラムを監視して、インストールされたプログラムをまとめてUWPアプリとしてパッケージ化する。
ただし、DACではWin32アプリケーションのインストールをサイレントモードで行うため、既存のアプリケーションインストールで行われる「対話的なインストール」(インストール時にユーザーに確認を求めるなど)は問題になる。このため、サイレントインストールのみサポートする(対話的インストールモードでDACを使うと、DACの動作が途中でストップする)。
この他、UWPアプリでは、ドライバなどのインストールは行えないため、アプリケーションにドライバを含んでいる場合は、注意が必要だ。
Microsoftでは、Win32アプリケーションをまずはUWPアプリ化して、その後、Win32アプリケーションのソースコードにUWPアプリの機能を追加していき、最終的にはUWPのフル機能を使ったUWPアプリに移行してほしいとしている。また、UWPアプリ化したWin32アプリケーションは、ストアに公開できるため、ダウンロードの管理、アップデート時の管理なども簡単になる。
なお、UWPアプリを公開するためには、ストアに登録する必要がある。このため開発者は、Microsoftに開発者登録をして、開発したUWPアプリ(AppX)をMicrosoftに提出し、審査してもらう必要がある。このあたりは、AppleのApp StoreやGoogle Playなどと同じだが、今までのWindowsアプリ開発では、ほとんど関係してこなかった作業なので、アプリケーション開発者にとっては若干煩雑さもある。
しかし、ストアに公開するということは、全世界にアプリを公開することになるため、小さなアプリ開発会社や個人の開発者にとっても、全世界でアプリが販売できる素地が出来ることになる(ストアでは、有料アプリだけでなく、無料アプリや、有料アプリでも無償の試用期間を付けるなどのフレキシブルな設定ができる)。
関連キーワード
アプリケーション | インストール | Creators Update | Microsoft | Windows 10 | 業務アプリケーション | Enterprise IT Kaleidoscope | Office 365 | Anniversary Update | Universal Windows Platform
関連記事
- Windows 10の最初のリリースがサポート終了、複雑すぎるサポートポリシーの中身
Windows 10の最初のリリース対するサポートが3月26日で終了する。Windows 10では「Windows as a Service」というコンセプトが導入されているが、これに基づくサポートの変化について確認しておこう。 - Windows 10は単なるWindows 7の移行先? 真価を問われる2017年
リリースから1年半が経過したWindows 10にとって、Windows 7のサポートが終了する2020年までのこれから3年間は、まさに真価を問われることになるだろう。Microsoftはどんな施策を考えているのか。 - Windows 10 Creators Updateで追加されるセキュリティ機能たち
2017年に入ってもWindows 10の進化は止まることを知らない。次期アップデートのWindows 10 Creators Updateでは3Dなどグラフィック関連が注目を集めるが、今回は企業ユーザー向けの機能に注目してみたい。 - 次期Windows 10のCreators Update 3D機能は企業にメリットあり?
Windows 10の次期アップデート「Creators Update」の新機能は一見企業ユースとは無縁だが、意外な可能性を秘めるかもしれない。2017年の展望も占ってみたい。 - Microsoftが世界中のWindows 10でつくるセキュリティ対策の狙い
Microsoftは、世界中のWindows 10から収集する脅威情報をもとにセキュリティ対策を講じる「Windows Defender Advanced Threat Protection」を構築した。これによってセキュリティ対策はどう変わるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.