AIに“忖度”は無用 AI時代に求められるスキルとは?:Weekly Memo(1/2 ページ)
AI時代に求められるスキルとは何か。人材サービス会社が行った調査結果が興味深い内容だったので、それを基に考察してみたい。
管理職の9割がAI活用に期待――アデコの調査
AI(人工知能)時代に求められるビジネススキルは「対人関係力」と「創造力」――人材サービス大手のアデコが先頃、こんな調査結果を発表した。この調査は、首都圏の上場企業に勤務する40代から50代の管理職(部長・課長職)309人を対象に、「AI時代に求められるビジネススキル」とともに、「AIの導入状況」「AIへの期待」「AIの普及が雇用や職場に与える影響」などを2017年4月に聞いたものである。
まず、AIの導入状況から見てみると、「あなたの職場でAIは導入されていますか」との質問に対し、導入している企業は6.8%とまだ低いものの、28.8%が3年以内に導入する計画があると回答した。また、「あなたはAIに対してどのように思いますか」との質問には、「とても期待している」が21.4%、「どちらかといえば期待している」が67.3%で、合わせて88.7%が期待を寄せていることが分かった。(図1)
AIの普及が日本の雇用に与える影響については、複数回答で半数以上が「労働時間の短縮」(58.9%)および「業務の効率化・生産性の向上」(56.3%)と回答しており、AIに仕事を奪われて「失業率が上がる」(12.3%)といった悲観的な見方を大きく上回る結果となった。(図2)
この傾向は、AIの普及が職場に与える影響についても同じで、「既存の仕事の効率化、生産性が向上する」(48.2%)、「既存の仕事の質が向上する」(31.4%)、「労働力を補完する」(31.1%)と前向きな回答が上位を占め、「AIの代替によって、既存の仕事やタスクの一部がなくなる」(26.5%)といった悲観的な見方とは差がついている。
また、AIに任せてみたい業務としては、「データ処理業務」(67.6%)、「データ分析」(63.4%)、「情報リサーチ」(43.4%)といったデータを扱う業務が上位に並んだ。
同調査では、雇用と職場に関連して、「2035年にあなたが現役で働いていた場合、上司、部下がAIになったらどうしますか」との質問も。結果は、上司がAIの場合、「好意的」(15.5%)と「どちらかといえば好意的」(36.6%)を合わせると52.1%。部下がAIの場合はそれぞれ17.5%および46.6%で、合わせて64.1%となった。この結果は、上司が部下に不満を抱いていることの表れなのかもしれない。(図3)
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