AIに“忖度”は無用 AI時代に求められるスキルとは?:Weekly Memo(2/2 ページ)
AI時代に求められるスキルとは何か。人材サービス会社が行った調査結果が興味深い内容だったので、それを基に考察してみたい。
「対人関係力」「創造力」、さらに「想像力」を磨け
さて、既に冒頭で結果をお伝えしたAI時代に求められるビジネススキルの話。興味深いのは、現在からAI時代へと移る中での回答率の変化である。
図4に示すように、現在とAI時代において、自身の部下に求める「ビジネスで重要な能力」とはどのようなものかとの質問に対し、現在求める能力としては、「対人関係力」(67.0%)、「分析的思考力・概念的思考力」(45.3%)、「複雑な課題に対する解決力」(30.4%)が上位に挙がった。
それがAI時代には、「対人関係力」(55.0%)、「創造力」(36.9%)、「分析的思考力・概念的思考力」(36.6%)、「複雑な課題に対する解決力」(35.3%)という上位になった。
注目すべきは、現在最も重要と考えられている「対人関係力」がAI時代でも変わらずトップであるものの12ポイント下がっている一方で、現在は21.0%の「創造力」がAI時代には15.9ポイント上がって2位に浮上していることである。
この結果を読み解くならば、「対人関係力」はAI時代になっても重要であることに変わりはないが、AIをうまく活用した上で「創造力」を発揮することがAI時代には一層求められるようになると考えている人が多いといったところか。
さらに、筆者の見解を述べておくと、創造力もさることながら、「想像力」がAI時代に求められるビジネススキルとして非常に重要になるのではないかと考える。想像力とは、状況に応じて物事の先々に起き得ることや、そうした動きの中で自身を含めた人々の意識や気持ちを推しはかることができる力だと筆者は考えている。もっと言えば、その上で対人関係力を発揮していくのも想像力の重要なポイントだと捉えている。
もう1つ、AI時代に求められるビジネススキルとして、AI活用の観点から警鐘を鳴らしておきたいことがある。それは、今後あらゆるビジネスに高度なAIが埋め込まれていけば、AIを活用するつもりが、いつの間にやらAIに頼りっぱなしになってしまうケースが増えていくのではないかということだ。頼りっぱなしまで行かなくとも、組織やビジネスパーソンの間で、AIが示した結果に“忖度(そんたく)”してしまうケースが増えるような気がしてならない。
そうならないように、ビジネススキルとしてAIをしっかりとサポート役に据え、対人関係力や創造力、さらには想像力を一層磨いていくことが肝要なのではないだろうか。
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