スマホで撮影するだけで豚の体重が分かる 養豚農家を支援するサービス登場
伊藤忠飼料とNTTテクノクロスは、スマホのカメラで豚を撮影するだけで推測重量を画面に表示する「デジタル目勘」を開発した。
伊藤忠飼料は9月20日、スマートフォンで豚を撮影すると、体重を推測して画面に表示するアプリケーションサービス「デジタル目勘(めかん)」を、NTTテクノクロスと共同開発したと発表した。2018年4月から伊藤忠飼料の販売ルートで提供を開始する。
豚は出荷後、枝肉の重量、背脂肪の厚さ、外観、肉質などにより、極上、上、中、並、等外の5等級に格付けされ、価格が決まる。このうち重量は等級ごとに規定され、少なすぎても多すぎても格落ちとなり、評価が下がるため、豚の体重を正確に把握することは養豚農家にとって重要という。
その一方、出荷時に1頭ずつ体重計に乗せて測定する方法は時間や労力がかかり、体重を自動計量するシステムの導入は多大な投資費用を要するという課題があった。また、豚の外観から体重を推測する「目勘」と呼ばれる方法は、長年の経験と熟練した技術を必要とすることに加え、人によって推測値にばらつきが生じやすく、正確な体重を安定して割り出すことは困難だという。
新サービスでは、伊藤忠飼料の養豚のノウハウとNTTテクノクロスの画像認識技術を活用し、独自の計測ロジックで“熟練者レベル”の目勘を再現した。豚の写真を撮るだけで手軽に体重を推測できるため、1頭ずつ体重計に移動させて計測する手間や設備投資を必要とせず、出荷時の重量の安定化が見込めるため、格落ちによる経済ロスの低減を支援し、養豚農家の収益増大に貢献できるとしている。
利用価格は1ライセンスあたり月額1万5000円(税別)から。撮影する端末ごとにライセンスが必要となる。
関連記事
- レーザー照射で野菜の産地が分かる? NTTの新技術にびっくり
NTTテクノクロス、ザファーム、エス・アイテックスの3社が、野菜のネット販売のプロジェクトを共同で展開。この中でNTTテクノクロスが、野菜の産地を「科学的」に証明する新技術を使っている。高速通信を実現するための技術をどう転用したのだろうか。 - API活用で実現 地下と地上をシームレスにガイドする「札幌地下街透過マップ」
NTTレゾナントは、色づけや立体化で分かりやすい地図を作る「gooラボ 地図API」の活用例として、「札幌地下街透過マップ」を公開。札幌の地下街と地上をシームレスに案内する。 - おいしい牡蠣はデータではぐくむ IoTで変わる養殖ビジネスの今
海の様子がおかしい、震災以降、養殖牡蠣の収穫量が不安定になった――。養殖牡蠣の産地として知られる宮城県東松島を襲ったこんな事態をIoTで解決しようという動きがある。 - NTT東日本、テレワークに分身ロボット「OriHime」活用、円滑なコミュニケーションを実現
「働き方改革」を推進するNTT東日本が、テレワークで“分身”のように操作できるロボットを導入。在宅勤務者の孤独感を解消し、チームの円滑なコミュニケーションを図る。 - “人の動作”を認識する人工知能が登場 8割強の認識精度
動いている人の映像を見て、“何をしているか”を判別――。NTTコミュニケーションズが人工知能「時系列Deep Learning」を開発した。防犯やマーケティングに役立つという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.