Excelすら使えなかった新人が、2年で「BIエバンジェリスト」になれた理由:「セルフサービスBI」セミナーリポート(3/4 ページ)
データ分析に取り組む企業が、必ずと言っていいほどつまづく「人材」の問題。ビジネスの現場でデータを扱う人材をどう育てればいいのか。その方法を、大阪ガスとホテルおかだの事例から見てみよう。
ビジネスモデルの変化にセルフサービスBIで対応する
原氏が次に取り組んだのは、経営戦略とレポートの関連性を強化し、PDCAサイクルを導入することだった。目標を達成するための戦略として、行動計画を立案し、予算化。実際の行動による効果を測定し、反省点を行動計画に反映させる。その一連のサイクルを回すためにデータを活用した。
ホテルの基幹DB(Oracle)とポイントカード(SQL Server)から取り出したデータを、SQLやExcelで加工し、コストとも掛け合わせて見えるようにすることで、取りうる戦略のシナリオをいくつも描き、その妥当性を評価、検証していったのだ。
こうした努力もあって、ホテルおかだの業績は回復基調に乗った。しかし、データの裏付けがあるほど、業界の変化のスピードを実感することになる。OTA(Online Travel Agent)の台頭、訪日外国人の急増、民泊といた新しいホテル体験の出現など、従来の経営分析では間に合わない事態に気付いた。そんなとき、Qlik Senseに出会ったのだった。
「Qlik Senseは大量データの処理が速いので、長期間のトレンドに複数のフィルタをかけてドリルダウンすることもすぐできます。分散していたデータを統合し、今まで見えなかった関連性に気付き、仮説検証の質が高まりました。ポイントは、データをいかに用意するか。そして、経営戦略やマーケティングと有機的に結び付けて考えること。美しいビジュアライズも大きな武器になります」(原氏)
データと売り上げの関係を明確化し、ヒトの行動にインパクトを与えることで、ホテルおかだのデータ分析は経営戦略にまで進化したのだ。
インメモリデータと連想技術で高速化を実現した「Qlik」
本セミナーでは、企業のデータ活用を支えるセルフサービスBIツールも多数紹介された。まず、セルフサービスBIのプラットフォーム「Qlik」を展開する、クリックテックの鈴木珠子氏が登壇し、同製品を紹介した。
スウェーデン発祥のQlikは、インメモリデータ処理と、同社が特許を持つ「連想技術」により高速化を図り、思考の流れを止めることなく知見を得られるのが特徴だ。全世界で4万を越える顧客を持ち、無料で試用できる。
鈴木氏は、セルフサービスBIの検討ポイントは主に3つあると語る。1つは、幅広い分析ニーズに対応できるか。データ分析の専門家でない人にとっては、簡単で使いやすいほうがいいが、専門家にとっては高度な要求に応えられるかが重要になる。2つ目は、多様で複雑なデータを、いかにして効率的に活用できるか。
そして、3つ目はセキュリティやガバナンスなど管理面、それに伴うコストも考慮して、いかに適材適所の展開を提案できるか。例えば、クラウドとオンプレミスの使い分けなどをプラットフォームとして提供できるかどうかを総合的に検討する必要があるという。
デモンストレーションでは、別のアプリケーションで作成されたデータを、内容から判断して、同じ項目として取り込めるのではないかと推理する仕組みや、データを簡単に整理する仕組みが紹介された。「1つのツールでさまざまなデータ分析ニーズに応えられるのが、Qlikの特長です」(鈴木氏)
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