ふがいないIT部門にガートナーが喝 まず、DX推進の舵を“握れ”:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業におけるデジタル変革の推進役は誰なのか。ガートナーは独自調査を基に「ITリーダーが“舵を握れ”」と主張する。なぜ、舵を「切れ」ではなく「握れ」なのか。
デジタルビジネスの取り組みに向けた「3つのハードル」
「アプリケーションリーダーはデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の舵を握れ」――。ガートナー ジャパンが3月15〜16日の2日間、企業のIT部門マネージャーなどを対象に都内で開催した「ガートナー エンタープライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018」で、こんなテーマの講演があった。
講演者は、ガートナー ジャパンの片山治利ガートナーリサーチディレクター。同氏は講演の冒頭でテーマについて、なぜ、舵を「切れ」ではなく「握れ」なのかを、独自調査の結果を基に説明したいと切り出した。ちなみに、「アプリケーションリーダー」については片山氏が講演の中で「ITリーダー」、すなわちIT部門を率いるリーダーと同じ意味で使っていたので、以降は分かりやすいITリーダーと表現する。
片山氏によると、独自調査というのは、同社が2017年11月にユーザー企業のIT部門を対象に行った「ITデマンド・リサーチ」のことだ。この調査から同氏がまず紹介したのは、デジタルビジネスへの取り組み状況である。図1がその結果だが、予定があるところまで含めて「取り組んでいる」とみると、従業員数1000人以上の企業は23.0%になるものの、1000人未満の企業は8.6%にとどまった。
図1で片山氏が注目したのは、「予定もないが、関心はある」との回答だ。1000人未満の企業で33.8%、1000人以上の企業では38.5%に上る。この状況について同氏は、「もはや関心を持っているだけでは、取り組んでいる企業との差がどんどん広がっていく。少しでも早く取り組みに向けて動き出すべきだ」と警鐘を鳴らした。
では、デジタルビジネスへの取り組みに向けて動き出すにはどうすればよいのか。片山氏は「3つのハードルがある」という。第1のハードルは「理解」。経営陣やビジネス部門のリーダーの理解を高めないといけない。第2のハードルは「テーマ探索」。デジタルビジネスのテーマを探索するために、少数精鋭チームを編成して実証実験と評価を繰り返していくことが必要だ。
そして第3のハードルは「稼働への準備」。全体のアーキテクチャを検討し、共通の技術やインフラの検討と展開を図るとともに、セキュリティや倫理、コンプライアンスの確認を行う必要がある。さらに同氏は、「第3の要件についてはスタート時から視野に入れておく必要がある」とも付け加えた。
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