デジタルビジネスで負けたくなければ、この5つの要素に注目せよ ガートナーのトップアナリストが指南:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業がデジタルビジネスを進めていくうえで考えるべきことは何か。Gartnerのトップアナリストが、この点について語った。その内容とは――。
4つのタイプからなるデジタルビジネスモデル
では、今回のメインテーマである、自社としてのデジタルビジネスモデルをどのように描けばよいのか。ソンダーガード氏によると、今後、その最大のポイントになってくるのが、エコシステムの活用である。同氏は、「これからはAPIによって外部のさまざまなエコシステムやeマーケットプレイスと積極的につながっていくことが求められる。そうしたエコシステムのありようによって、自社としてのデジタルビジネスモデルの描き方が違ってくる」と語る。
そのデジタルビジネスモデルの描き方の違いを示したのが、図3である。この図に描かれている4つのタイプから、自社としてのデジタルビジネスモデルを選択すればよいという。ソンダーガード氏がこの中で、自らがエコシステムリーダーとして最も幅広いデジタルビジネスモデルを描いているのが、左から2つ目の「全体最適化」の図である。
同氏によると、この図はエコシステムとしてさまざまなコミュニティーやプロバイダー、代理店と深い関係を築き、ビジネスモデルも必要に応じて柔軟に変化させていくことを表しているという。このデジタルビジネスモデルを実践している代表例が、Amazon.comだという。
ほかの3つについては、「連携」はエコシステムの連携役に徹したタイプ、「創造」は他のエコシステムに対してデジタルサービスを提供するような開発主導のタイプ、「結び付け」は売り手と買い手をつなぐマーケットプレイスタイプだという。現状の企業におけるエコシステムは、連携のタイプが多いと推察される。
デジタルビジネスモデルとしてどのタイプを選択するかは、企業の規模や業態によっても変わってくるだろう。創造や結び付けのタイプは、規模の大小にかかわらず、取り組むことができそうだ。
ソンダーガード氏はこのタイプについて、「企業経営者の中には、『うちもAmazonのようになりたい』と野心を抱いている人たちが少なくないが、考えてみれば、Amazonはこれまでなかった新しいビジネスを構築して消費者に受け入れられたからこそ、現在のように大きくなった。目標を大きく持つことはよいことだが、身の丈に合わせたデジタルビジネスモデルを描くことも重要だ。また、デジタルビジネスモデルを描く際には、カスタマーエクスペリエンスを重視することも助言しておきたい」と語った。
企業にとってデジタルビジネスとは何か。また、デジタルビジネスモデルをどう描くのか。ソンダーガード氏の話はその具体的な内容もさることながら、着想そのものを大いに参考にしたいところである。
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