AWSの切り崩しは許さない――Windows Server 2008サポート終了に向けたマイクロソフトの思惑:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業システムのサーバOSとして広く使われている「Windows Server 2008」のサポート終了に伴い、日本マイクロソフトが新しい利用環境への移行状況について説明した。そこには競合勢力に顧客を奪われないように物事を進める同社の思惑が見て取れた。
サポート終了時の予測稼働台数は10万台に縮小
「10年前のレガシーOSである『Windows Server 2008』が、サポート終了する2020年1月14日まで半年足らずになった。既存のお客さまにはぜひとも最新のIT環境に移行していただきたい」――。日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズビジネス本部 本部長の浅野智氏は、同社が先頃開いたWindows Server 2008のサポート終了に伴う新しい利用環境への移行支援に関する記者説明会で、こう切り出した。
「『Microsoft Azure』(以下、Azure)にリフト&シフトしてもらえれば、延長セキュリティ更新プログラムを3年間無償提供するので、ぜひ利用していただきたい」(浅野氏)
浅野氏は、同社のクラウド基盤サービスへレガシーOSをそのまま移行し、その後クラウド環境へ再設計するという、かねて推奨している方法を改めてアピールした。
図1は、Windows Server 2008の稼働台数について、過去からの推移と現在、そしてサポート終了時の予測数値を示したグラフである。縦軸は台数、横軸はサポート終了時から見た経過月数、折れ線は台数の推移を公開時期ごとに色分けしてあり、黄色い線が最新のデータだ。それによると、現時点で約32万台が残り、サポート終了時でも約10万台が残ると予測している。
10万台という残数をどう見るかは意見の分かれるところだが、過去の見立てからは相当数減ってきており、浅野氏は「これまでいろいろと移行支援策を施し、訴求してきた効果が表れている」との手応えを口にした。
ちなみに、同社ではこの移行支援に向けて、図1の下段に記されているように4度のアクションを行ってきた。本コラムはこのうち3度について解説してきた。過去から順に挙げると下記の通りだ。
- 「サーバ移行支援センター設立」について:AWSに顧客を奪われるな! Windows Server新環境への移行に向けたマイクロソフトの“深謀遠慮”(2018年8月13日掲載)
- 「ハイブリッド:Windows Server 2019」について:転送が遅い、保守が煩雑、コストがかかる―クラウド移行の課題、ハイブリッドクラウドなら解決できるか(2018年11月5日掲載)
- 「ハイブリッドクラウド:Azure Stack HCI」について:Microsoftはなぜ『Azure Stack HCI』を市場投入したか(2019年4月22日掲載)
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