「もうかるビジネス」になったNECのDX事業をユーザー視点で“点検”:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業がDXを推進する上での勘所はどこにあるか。DX事業を「成長のドライバー」と位置付けるNECのDX事業からユーザー視点で探ってみたい。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく上で、欠かせない3つのアプローチがある。IT、デジタルを指す「テクノロジー」と「ビジネス」「マネジメント」だ。それぞれの勘所はどこか。NECが2023年8月30日に本社(東京都港区)で開催したDX事業に関する記者説明会の内容から探ってみたい。
黒字化した「DX事業」 今後は成長のドライバーに
NECは今、DX事業を成長のドライバーと位置付け、注力している。会見には、社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏と、CorporateEVP兼CDO(最高デジタル責任者)の吉崎敏文氏が登壇し、説明役を務めた。
「NECが成長領域として注力している『コアDX事業』が2022年度(2023年3月期)で黒字に転換した。重点的に投資を続ける中で利益にも貢献する事業になってきた。今後は当社の成長に向けたドライビングフォースになっていくと確信している」
森田氏は会見でこう切り出し、DX事業が「もうかるビジネス」になってきたことを強調した。
NECのDX事業についての説明の中で、筆者は同社がDXを3つのアプローチで捉えていることに注目した。その3つとは、「ビジネスモデル」「テクノロジー」「組織・人材」だ。これは上記で述べた3つのアプローチと同じ観点だ。そこで本稿では、NECのDX事業をユーザーの視点で捉えてみたい。
森田氏に続いてDX事業の具体的な取り組みについて説明した吉崎氏は、まず社会の変化とDXの3つのアプローチにおける動きについて要点を図1のように挙げた。この内容はユーザー視点でも同じだ。下線が引かれた箇所はNECのソリューションが強みを持つ領域と見て取れる。
吉崎氏は3つのアプローチについて「『ビジネスモデル』と、それを支える『テクノロジー』『組織・人材』の3軸の進化を継続すること。言い換えると、『売り方を変え、売り物を変え、売るケイパビリティを変えること』がDXの事業拡大につながる」と説明した(図2)。
これは3つのアプローチの関係性を示したもので、事業に限らず、DXの取り組みの核心を突いた話だ。つまり「テクノロジーとマネジメントはビジネスの変革を支えるためにある」。この考え方が根本になければ、DXはいつまでたっても実を結ばないと認識すべきだ。
こうした3つのアプローチを踏まえた上で、NECのDX事業の中核を担う「NEC Digital Platform」(以下、NDP)が実現する価値を示したのが図3だ。森田氏によると、「NDPは単なる技術共通基盤ではなくDX人材やナレッジ、テクノロジー、開発まで包含したプラットフォームだ。これにより、お客さまにおける組織・人材変革、顧客体験改革、社会とビジネスのイノベーション、業務変革などを実現していく」とのことだ。
ここで言う「実現する価値」は、ユーザー視点でみても、自ら目指すべき変革ばかりだ。
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