スマートフォンの世界において、事実上世界を二分している「iOS」と「Android」。両者のうち、Androidの開発を主導しているGoogle(グーグル)が自ら開発しているスマホが「Pixel(ピクセル)シリーズ」です。
8月20日、その最新モデルの「Pixel 4a(ピクセルフォーエー)」が発売されます。この記事では、Pixel 4aがどのようなスマホなのかを解説していきます。購入を検討している人の参考になれば幸いです。
Pixelシリーズで「a」の付くモデルは、aの付かないモデルと比べて一部のスペックを控え目にすることで価格を抑えていることが特徴です。つまり、Pixel 4aは「Pixel 4」の廉価モデルという位置付けにあります。
GoogleのWeb直販「Googleストア」での税込み販売価格は以下の通りです(8月15日現在)。
このように、Pixel 4aはPixel 4/4 XLの半額以下の価格で購入できます。
スペックを抑制している主な部分は、スマホの計算処理やグラフィックス(画面)の描画を担う「プロセッサ」の性能、「アウトカメラ」の数、通信スペック、ボディーの「防水・防塵(じん)」性能といった所です。
ただし、プロセッサにゲーミング性能を向上した「Snapdragon 730G」を採用し、アプリなどの実行に使うメインメモリはPixel 4/4 XLと同じ6GBを備えています。データを保存する内蔵ストレージも、Pixel 4/4 XLの上位モデルと同等の128GBです。
スペックにメリハリを付けて価格を抑えていることから、普段使いでは一般的なミドルレンジ(中位)スマホよりも快適に使えるようになっています。
スペックにメリハリを付けて価格を抑えているPixel 4aですが、Pixel 4/4 XLで定評のあったカメラの撮影機能はほぼそのまま使えます。
例えば、Pixelシリーズのカメラで象徴的な「夜景モード」はPixel 4aでも利用可能で、本体をしっかり固定することで天体撮影もこなせます。背景をぼかして撮影する「ポートレートモード」、明暗差の激しい場所でもきれいに撮影できる「Live HDR+」、精度の高いデジタルズーム「超解像ズーム」など、主要な機能はPixel 4aでも使えます。
ただし、ハードウェアの差によって一部の効果が異なったり、処理に時間がかかったりする場合もあります。
Pixel 4/4 XLと同様に独立したセキュリティモジュール「Titan M」も搭載されています。このモジュールは、ハードウェアやソフトウェアを“悪用”した攻撃からスマホを守ってくれる役割を持っており、私たちが気付かない所でクラッカー(悪意のあるハッカー)がスマホの中の情報を盗み取る試みを防いでいます。
価格は安くても、ユーザーの体験は極力損なわないようにする姿勢が好印象ですね。
Pixel 4aは、発売する国や地域によって幾つかの仕様があります。日本で販売されるものは、日本専用モデルで、以下のような特徴を持っています。
日本版のPixel 4aは「おサイフケータイ」に対応しています。
おサイフケータイは、FeliCa(フェリカ)規格に準拠したモバイル非接触ICカードで、設定をすることで以下のタッチ決済サービスを利用できるようになります。
何かに触れることなく改札を通ったり決済したりできるのは、今のご時世を考えるとうれしい人もいると思います。
日本を含む幾つかの国・地域で販売されるPixel 4aは、ネット経由で配信されるSIMカード「eSIM」に対応しています。
eSIMを使うと、物理的なSIMカードを用意しなくても通信サービスを利用できます。日本では、eSIMを使った個人向けMVNOサービスをIIJ(インターネットイニシアティブ)が提供している他、海外渡航者向けのeSIM通信サービスを幾つかの会社が提供しています。
eSIM対応のPixel 4ではnanoSIMとの「デュアル待ち受け」も可能で、「国内ではnanoSIMで、海外ではeSIMで通信」「音声通話はnanoSIMで、データ通信は割安なMVNOのeSIMで」といった使い分けも可能です。
ただし、eSIMを書き込むにはインターネット接続が必須で、インターネットにつながるnanoSIMまたはWi-Fi(無線LAN)が必要となります。
Pixel 4aは、Googleストアとソフトバンクで購入できます。価格はもちろんですが、受けられるサービスに違いがあるので説明します。
先述の通り、Googleストアでは税込み4万2900円で販売されています。Googleストアでの購入分は最初からSIMロックフリーであることが特徴で、NTTドコモを始めとする主要なキャリアのSIMカードを利用できます。もちろん、MVNOが提供する、いわゆる「格安SIM」にも対応しています。
ただし、端末購入にカード(Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club)が必要となる他、手数料(金利)なしの分割払い購入や端末補償サービスは利用できません。とりわけ、端末が保証対象外の故障に遭遇した時や紛失・盗難時に役立つ補償サービスを利用できないのは見方次第では大きなデメリットです(※1)。
「Pixel 4aを少しでも安く購入したい!」「キャリアに縛られることなく購入したい!」という人におすすめの販路といえます。
(※1)クレジットカードやデビットカードの購入物品保険や、保険会社が別個に販売している「端末保険」などでカバーできる場合もあります
ソフトバンクでは、Webの「ソフトバンクオンラインショップ」、全国の「ソフトバンクショップ」やソフトバンク携帯電話を取り扱う家電量販店や併売店(携帯電話専門店)で販売します。オンラインショップやソフトバンク直営のソフトバンクショップでの税込み販売価格は4万9680円です。
購入は、ソフトバンク回線の契約とひも付けて購入する従来からの方法に加えて、実店舗では端末単体で購入することもできます。24回または48回の無金利分割払いで購入することも可能で、48回払い購入時は「とくするサポート+」を適用することもできます。
回線とひも付けて購入する場合は、月額650円(税別)の補償サービス「あんしん保証パックプラス」に加入することもできます。このパックに加入していると、補償対象外の故障時の修理代金の減免を受けられる他、紛失、盗難時に割引価格で機種変更できます(同一機種の再購入を含む)。
一方で、ソフトバンクで購入すると、端末価格がGoogleストアよりも高くなることと、原則としてSIMロックがかかった状態で販売されること(※2)がデメリットといえます。
しかし、無金利の分割払いと、手厚い補償サービスが受けられること、実店舗では店員さんと相談しながら購入できることは、Googleストアにはない大きなメリットです。「Web通販は不安だから店舗で買いたい」「スマホはよく買い換えるから下取りプログラムがしっかりしているとうれしい」という人には特におすすめです。
(※2)端末を一括払いで購入した場合、利用料金をクレジットカードで支払っている場合(ソフトバンク回線をひも付けた分割払い購入時)は購入時にSIMロックを無料で解除できます。詳しいSIMロック解除の条件はソフトバンクのWebサイトで確認してください。なお、eSIMはSIMロックを解除しないと利用できません
Pixel 4aは、以下のような人におすすめです。
なお、5G(第5世代移動通信システム)に対応する「Pixel 4a 5G」も近日中に発表される予定です。「通信も最新がいい!」という人は、少し待ってみるのも手かもしれません。
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