キャンプで火を使ってお湯を沸かしたり、料理をしたりと大活躍するのが「シングルバーナー」。コンパクトな上に扱いも容易で、ソロや複数人でのキャンプ、カップ麺をすするツーリング、お弁当と一緒にお茶を楽しむハイキング、登山中のほっとするひととき……など、さまざまなシーンで活躍。防災用品として備えておいても安心です。
ここではシングルバーナーを選ぶポイントとおすすめのモデル、あると便利なアクセサリーを紹介していきます。製品選びの参考にしてみてください。
Fav-Log編集部員としてアウトドアや家電、ガジェット、車などを担当。ITmediaで長くITトレンドやネットの話題、業界事情、ガジェットなどを取材する一方、学生時代の野宿旅行から各地でキャンプを楽しんできました。キャンプのポリシーは「シンプルに」。最近は三浦半島に通って海釣り(主にライトゲーム)を楽しんでます。ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定AFP)。思い出のキャンプ地は大雪山・旭岳のテント場。最愛のガジェットはJornada 690。好きな魚はカサゴとオオモンハタ。
アウトドア用シングルバーナーにはさまざまな種類がありますが、初心者におすすめなのはガスカートリッジを使う方式です。コンパクトなカートリッジ(缶)に入ったLPガス(液化石油ガス)を燃料として使うもので、家庭のガスこんろのように扱いが容易なのが特徴です。
気温が低いと火力が落ちるのがデメリットですが、何より手軽で扱いやすいので、キャンプで利用されるシングルバーナーの主流になっています。初心者が選ぶのなら、まずはガスカートリッジ式をおすすめします。
ガスカートリッジには2つの種類があります。基本的に互換性はありません。自分に合ったものを選ぶためにも、それぞれの特徴を知っておきましょう。
「Cassette Gas Bombe(カセットガスボンベ)」の略。家庭でおなじみのカセットこんろに使われているのがCB缶です。コンビニでも買える入手のしやすさもあり、最も手軽に使えるのがCB缶を使ったシングルバーナーです。
外気温が低いと出力が落ちるのが欠点ですが、ガスの配合を工夫して低温に強くしたものや、火力が落ちにくい機構を搭載しているシングルバーナーもあります。
安価なCB缶も出回っていますが、スペック通りの性能を発揮させたいなら、使用するバーナーのメーカーが販売するCB缶を使うことをおすすめします。
「OutDoor(アウトドア)」の略で、その名の通りアウトドア専用のガスカートリッジです。OD缶を使うバーナーは火力が高く、寒さにも強いのがメリット。登山などで使う場合はOD缶が優れています。ガスランタンなどOD缶を使う別の器具もそろっており、カートリッジを共用できるのも便利です。
ただしカートリッジを買えるのがアウトドアショップなどに限られる上、CB缶と比べ価格が高いのがデメリットです。
CB缶とOD缶には互換性はありません。複数のバーナーを使うのであれば、どちらかに統一したほうが荷物は減らせます。
「ホワイトガソリン」を燃料に使う「ガソリンバーナー」もあります。寒いところでも火力が安定し、燃料が安いのでランニングコストを抑えられるのがメリット。古くからのキャンパーや登山家に愛用者が多い方式です。ただし、「ポンピング」と呼ぶ加圧作業が必要など、やや手間がかかります。
アウトドア専用のタブレット形や卓上用固形燃料を使う「固形燃料ストーブ」は、コンパクトで携帯性が高く、ソロキャンパーには十分な火力が得られます。
「アルコールストーブ」(アルスト)は薬局などで安価に入手できる燃料用アルコールを使うバーナー。こちらも携帯性が高く、静かに燃える炎がキャンプの静かな夜にぴったりです。
固形燃料ストーブ、アルコールストーブとも本体は安価なものが多いので、ガスバーナーのサブとして用意しておいても便利。防災用にも向いています。
ガスカートリッジ式のシングルバーナーは「一体型」と「分離型」に分けられます。
炎が出るバーナー部&鍋などを載せるゴトクと、ガスカートリッジが直結するタイプ。コンパクトで軽量なものが多く、少しでも荷物を減らしたい登山や、1人分の調理で済むソロキャンプなどに向いています。
重心がやや高くなる(特にOD缶タイプ)ので、大きめの鍋を使う場合は安定性に注意が必要です。使い方によっては鍋の輻射熱でガスカートリッジが熱せられ、事故につながる場合があるので注意しましょう。
バーナー部とゴトク、ガスカートリッジが分かれているタイプ。ゴトクの安定性が高く、大きな鍋を載せやすくなっています。
小さな子どもがいるファミリーなど複数人のキャンプや、ソロキャンプで凝った料理や鍋料理を楽しみたいといった場合に向いています。また、ガレ場などさまざまな地面状況に対応でき、登山でも活躍します。
設置にはある程度の広さが必要になるほか、一体型に比べるとややかさばります。テーブルなどにゴトクを置く場合は輻射熱対策が必要になることもあります。
カセットコンロなどで知られる「イワタニ」(岩谷産業)のド定番シングルバーナー。CB缶を直結して使用でき、サイズがコンパクトなのでソロキャンプや登山などで幅広く活躍します。コスパの良さも人気のポイント。出力は2300kcal/h。
CB缶を輻射熱から守る遮熱板など、使い勝手を高めてくれるさまざまなアクセサリが他社から登場しているのも魅力です。
アウトドア用バーナーやランタンの専門ブランド「ソト(SOTO)」(新富士バーナー)のCB缶用シングルバーナー。イワタニのジュニアコンパクトバーナーと人気を二分する定番バーナーです。
マイクロレギュレーターを搭載することで、低温下で火力が低下しやすいCB缶の弱点を解消。外気温5〜25度で一定の火力を発揮し、気温が下がる朝晩や早春、晩秋のキャンプでも活躍します。直径19cmまでの大鍋が使用可能です。出力は2500kcal/h。他社から登場しているさまざまなアクセサリも便利です。
SOTOの2022年シーズン新製品。ST-310をサイズアップしたモデルと言っていいでしょう。直径66mmの火口(ST-310は45mm)を備え、直径11〜19cmの中型サイズのクッカーと相性がいい大きさ。出力も2800kcal/hにアップしています。
マイクロレギュレーターの搭載で低温に強いのはST-310譲り。ST-310ではオプションだった点火アシストレバーを標準装備し、スムーズな点火操作が行えます。
人気アウトドアブランド「スノーピーク(snow peak)の卓上ガスこんろ。その名の通り、自宅でもキャンプでも活躍してくれる人気のバーナーです。出力は2100kcal/h。
収納時にはバーナー部とゴトクを折りたたんで円筒形に収納できるのが人気のポイント。キッチンスペースでも場所をとりません。インテリアになじみやすい3色展開。
イワタニのアウトドアブランド「FOREWINDS」の直結型シングルバーナー。重さ186gと、イワタニのジュニアコンパクトバーナー(274g)と比べてライトウェイトなのが特徴。その分、出力は2000kcal/hとジュニアコンパクトバーナー(2300kcal/h)に譲ります。
SOTOの分離型シングルバーナー。マイクロレギュレーターにより低温でも安定した出力が可能な上、火足の短い炎とすり鉢状のバーナーヘッドにより、耐風性に優れています。大きめの鍋でも安心の安定性も魅力。出力は2500kcal/h。
アウトドアでも使えるイワタニのカセットこんろ。炎長が短く消えにくい多孔式バーナーと効果的な風防を採用し、風を気にせず使えるのが特徴です。出力は2800kcal/h。
直径24?(鍋底)までの鍋に対応し、耐荷重20kgとタフなのでダッチオーブンもOK。カセットフーシリーズの専用アクセサリーを使って焼き肉や鉄板焼きなども楽しめます。専用キャリングケース付きで持ち運びも便利です。
「タフまる」の兄弟モデル。風に強いバーナーと風防はそのままにダウンサイズし、ソロキャンパーにも使いやすいサイズになっています。出力は2000kcal/h。
鍋上部の直径が20?までの鍋に対応し、耐荷重は10kg。8インチまでのダッチオーブンに対応します。通常サイズのCB缶のほか、ジュニアサイズの利用も可能。キャリングケースが付属します。
アウトドア用バーナーの先駆けとなったスウェーデン発のブランド「プリムス」(PRIMUS)。「ウルトラバーナー P-153」はOD缶一体型バーナーの定番です。
コンパクトながら出力3600kcal/hのハイパワー。安定性の高いX字型配置の4本ゴトク、垂直に配置された点火装置などが使い勝手を高めています。ハイキングからソロキャンプ、登山までさまざまな用途に対応できます。
プリムスのシングルバーナーと言えばこれを思い浮かべる人も多い伝統モデル。風に強いX字型ゴトク、ハイパワー(3600kcal/h)でさまざまな用途に対応します。
SOTOのOD缶直結型シングルバーナー。マイクロレギュレーターは搭載していませんが、風に強い燃焼構造やセッティングしやすい4本ゴトクなど、実用性とコスパに優れたモデルです。出力は2600kcal/h。
スノーピークの直結型シングルバーナー。徹底的な軽量化を図り、2800kcal/hの出力を維持しながら56gという軽さを実現。少しでも荷物を軽くしたい人におすすめです。
幅広い品ぞろえで人気のアウトドアブランド「キャプテンスタッグ」(CAPTAIN STAG)のシンプルでコスパのいいOD缶バーナー。出力2700kcal/h、圧電点火装置付きと、実用性は十分です。
SOTOのOD缶用分離型シングルバーナー。マイクロレギュレーターの搭載により、連続使用時や低温時でも安定した火力を発揮。風に強いすり鉢状の火口、不整地の地面でも安定しやすい三本脚など、山岳に耐える作りです。数人用の大きめの鍋まで対応可能。出力は2800kcal/h。
分離型と直結型を両取りしたユニークなシングルバーナー。OD缶がアウトリガーのような役目を果たし、不整地でも安心して使える安定性とコンパクトさを両立。スノーピークらしい製品です。出力は2900kcal/h。
人気アウトドアブランド「コールマン」(Coleman)のシングルバーナー。2段階に高さを調整できる脚つきで安定性を高めています。使用中にテーブルが熱くならないというメリットも。
耐荷重は約10kgと丈夫で、8インチのダッチオーブンも使えます。出力は2150kcal/h。
「ジェットボイル」(JETBOIL)というブランド名の通り、迅速にお湯を沸かすのが得意なバーナー。専用の保温クッカーと熱効率の高いバーナーがセットになっており、0.5リットルの水を約1分40秒で沸騰させるという「驚異の沸騰スピード」が売りです。
専用クッカー以外の鍋などを使うためのゴトクやボンベを含む全パーツを専用クッカーに収納できるオールインワン設計になっています。出力は2269kcal/h。
アウトドア用バーナーは基本的には風に強くなっていますが、ウインドスクリーン(風防)があれば風が強い日でも効率良く加熱できます。手頃な価格のものが多いので、1つ持っておくと安心です。
選ぶ際はバーナーをカバーできるか高さや幅があるかどうかをチェックしましょう。ペグを備えているものなら、地面に挿して固定できるので便利です。
テーブルの上にシングルバーナーを置いて鍋などをかけて加熱すると、テーブルが輻射熱で熱くなり、変色するなどのダメージを受けることがあります。特に炎と鍋底が接地面に近い分離型の場合は注意する必要があります。
「バーナーシート」は熱と炎に強い素材でできたシート。シングルバーナーの下に敷いておくことで、テーブルを熱から守ります。
アウトドア用バーナーは風に強い強力な炎が出る反面、炎に広がりがなく、1点に集中することで鍋などが焦げ付いてしまう傾向があります。
「バーナーパット」をゴトクの上に載せておくと、金網によって炎が分散され、鍋を均一に加熱してくれるようになります。食材をあぶるなどの使い方も可能です。
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