Googleは10月12日にスマートフォンの新モデル「Google Pixel 8/8 Pro」と、スマートウォッチの新モデル「Google Pixel Watch 2」を発売しました。
また「Google Pixel Buds Pro」の新色も追加されています。
ここでは、これらの製品について、主要なポイントをピックアップしつつ、それぞれの概要をチェックしていきましょう。
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
スマートフォンの「Pixel」シリーズは、例年通りスタンダードモデルと上位モデルの2種類が展開されており、進化を遂げた「Tensor G3」チップを搭載しています。
スタンダードモデルに相当する「Google Pixel 8」(以下、Pixel 8)は、6.2インチの有機ELディスプレイを搭載。従来機種の「Google Pixel 7」(以下、Pixel 7)と比べると、輝度が42%UPし、リフレッシュレートも最大90Hzから最大120Hzへと進化しています。輝度についてはHDR表示時で1400ニト、ピーク輝度2000ニトへと改良されています。
ボディーの素材には、フレーム部にサテンメタル、背面にポリッシュガラスが使われています。カラーバリエーションは、「Hazel(グレー系)」「Obsidian(黒系)」「Rose(ピンク系)」の3色展開です。
背面カメラは、広角(5000万画素)と超広角(1200万画素)のデュアルカメラを搭載。Pixel 7と比べるとメインカメラが低照度環境でもより綺麗に撮影できるように改良されたほか、超広角カメラがオートフォーカスに対応しました。
スマートフォンの「Pixel」シリーズといえば、機械学習処理を活かしたソフトウェア関連機能が豊富なことが特徴です。Pixel 8/8 Proともに共通して「Googleフォト」アプリ上で利用できる新機能としては、以下の3つがあります。
1つ目は「ベストテイク」です。集合写真で撮影した写真について、人の表情を人ごとに複数のパターンから選べます。2つ目は「編集マジック」。タップ操作で被写体の位置やサイズを調整したり、背景の空を変更したりできます。3つ目は「音声消しゴムマジック」。撮影した動画の風の音や、街の喧騒などのノイズを簡単な操作で調整できます。
また機械学習処理を使用した音声入力アシスタントやレコーダー機能も進化しています。言語を手動で設定せずとも、自動で言語を認識して、その言語での入力を行えるようになりました。
同機のGoogleストアでの価格は、128GBモデルが11万2900円(税込、以下同)、256GBモデルが12万2900円です。純正の保護ケース(5400円)も用意されています。ちなみに、22年秋の「Pixel 7」の発売時の価格が8万2500円〜だったので、下取りの還元額が大きいPixelシリーズと言えども、大幅に高騰している印象を受けます。
「Google Pixel 8 Pro」(以下、Pixel 8 Pro)は、画面サイズが6.7インチで、先述したスタンダードモデルのPixel 8と比べると一回り大きめ。ボディー素材は、フレーム部にポリッシュ仕上げのアルミニウム、背面にマットガラスが使われています。
カラーバリエーションは、「Bay(青系)」「Obsidian(黒系)「Porcelain(白系)」の3色展開。Googleストアでの価格は、128GBモデルが15万9900円、256GBモデルが16万9900円、512GBモデルが18万9900円。純正の保護ケースは、こちらも5400円です。最小構成の価格をスタンダードモデルと比べると、追加で4万7000円を出せれば、Pixel 8 Proに手が届きます。
上位モデルとしてのPixel 8 Proならではメリットは、どのくらいあるのでしょうか。ここではディスプレイとカメラ関連機能の2点に注目しましょう。
Pixel 8 Proには、Googleが「Super Actuaディスプレイ」と呼ぶディスプレイが搭載されており、省電力性に優れるLTPO有機ELが使われています。最大輝度がHDR表示時で1600ニト、ピーク輝度で2400ニトとなり、シリーズ史上最も明るくなっています。
背面カメラには、広角(5000万画素)、超広角(4800万画素)、望遠(4800万画素)というトリプルカメラを備えます。スタンダードモデルと比べると、望遠カメラがあることや、超広角カメラの画素数などが分かりやすい差です。また従来世代の「Google Pixel 7 Pro」と比べると、望遠カメラが56%多くの光を取り込めるように改良されています。
撮影機能にも多くの差があります。Pixel 8 Proでは、カメラアプリにおいて「プロ設定」が使えることがポイント。シャッタースピードやISOを手動調整しての撮影や、ズーム倍率によらない50MP(5000万画素)の高解像度撮影などが選択できるようになっています。
動画については、Pixel 8 Proのみ、後日「動画ブースト」という新機能が使えるようになる予定です。これは、色や照度、手ブレ補正、粒状性などを調整しながら動画を撮影できる機能であり、「ビデオ夜景モード」として低照度下での動画画質を向上させることもできるとのこと。
新たに温度センサーを本体背面に搭載したことも見逃せないトピックです。これにより、料理などをスキャンして、温度をチェックすることができるようになっています。
そのほか、通信仕様に関して、Pixel 8 Proのみミリ波の5Gに対応していたり、超広帯域無線チップを搭載している点も把握しておくと良いでしょう。
スマートウォッチの「Google Pixel Watch 2」(以下、Pixel Watch 2)は、22年10月に発売された「Google Pixel Watch」(以下、Pixel Watch)の後継モデルです。従来世代のPixel Watchでは、ケース素材としてステンレススチールが使われており、重さはバンド部を除いて36gありました。新世代のPixel Watch 2では、100%再生アルミニウムが採用され、重さも31gまで軽くなっています。
また搭載するプロセッサーが、従来のPixel Watchでは「Exynos 9110 SoC」だったのに対し、Pixel Watch 2では「Qualcomm SW5100」へと強化されました。数値的な比較表現こそありませんが、製品の公式サイトでは“前モデルに比べてプロセッサ性能が大幅に向上しました。これにより動作がより高速になっています”と説明されています。
一番注目したいポイントは、従来世代の弱点だったバッテリー性能が改善されたことでしょう。チップセットの強化に加え、バッテリー容量も294mAhから306mAhへと微増。従来モデルでは、ディスプレイの常時表示をオフにした状態で、最大24時間のバッテリー持ちだったのに対し、Pixel Watch 2では、常時表示をオンにした状態でも最大24時間持つようになっています。
仕様面でのポイントは、新たなセンサーとして「皮膚温センサー」と「皮膚コンダクタンスを測定する電気センサー(cEDA)」の2つが搭載されたこと。
ただし、同機の皮膚温センサーについては、“月経周期の追跡はできない”とされています。ヘルプページの記述によれば、“健康に関連する睡眠時皮膚温の変動をモニタリングする専用のセンサーが搭載されています”とあるものの、用途が不明瞭な点は惜しいところ。
「皮膚コンダクタンスを測定する電気センサー(cEDA)」については、「Fitbit」アプリのなかにおいて「身体反応」と呼ばれるストレス値を計測するのに使われます。
外観の変化も少なく、新搭載のセンサーも強い訴求ポイントとはならなそうです。やはり注目したいのは、バッテリー持ちが改善したことでしょう。昨年からPixel Watchが気になっていたけど、バッテリー持ちの評判を見て二の足を踏んでいた人や、Pixel Watchを購入したものの、バッテリー持ちに不満がある人は、購入を検討する価値があると言えそうです。
Pixel Watch 2のGoogleストアでの価格は、Bluetooth/Wi-Fiモデルが5万1800円、4G LTE + Bluetooth/Wi-Fiモデルが5万9800円。前世代と同様、「Fitbit Premium」の6ヶ月無料期間が付属します。カラーバリエーションは「Polished Silver アルミケース/Bay アクティブ バンド」「Matte Black アルミケース/Obsidian アクティブ バンド」「Champagne Gold アルミケース/Hazel アクティブ バンド」「Polished Silver アルミケース/Porcelain アクティブ バンド」の4種類を選べます。
「Google Pixel Buds Pro」は、2022年7月に発売された完全ワイヤレスイヤホンです。2023年10月4日には、ファームウェアアップデートによる機能追加のほか、「Bay(青系)」と「Procelain(白系)」の新カラー2種類がラインアップに追加されることが発表されました。
これでラインアップは、「Charcoal(黒系)」「Fog(灰色〜水色系)」「Lemongrass(黄色系)」「Coral(オレンジ系)」の既存4色に新色2つを加えた全6色展開に。いずれのカラーも充電ケースは白色で、イヤホン本体のカラーのみが異なります。
新色が登場したことで、「Pixel 8/Pixel 8 Pro/Pixel Watch 2」と合わせたカラーを選択できるようになったことがポイントです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.