この夏、「エアコンはつけっぱなし」という人は多いと思います。電気代が心配になりますが、節電のために使用を控えて健康を害しては元も子もありません。
そこで、エアコン以外の節電効果が高い家電に注目して、無駄な電力削減に取り組んでみましょう。この記事では、FPが「節電効果の高い6つの家電」と、上手な節電方法を紹介します。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
まずは、経済産業省資源エネルギー庁の調査データから、夏場に電気の使用割合が高い家電を見てみましょう。
やはり、夏場はエアコン(38.3%)がもっとも電気の使用割合が高くなっています。次に照明(14.9%)、冷蔵庫(12.0%)、テレビ・DVD(8.2%)と続きます。
また、常時使用しないため割合は低くなるものの、使用時には多くの電力を消費する家電に以下のものがあります。
そこで本記事では、照明、冷蔵庫、テレビ、洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、炊飯器の6つの家電の節電方法を紹介していきます。
照明を蛍光灯からLEDに変えると、電気代が節約できるだけでなく照明の寿命も延びます。買い替えの費用がかかりますが、最近はLED照明も安くなっており、1年程度で元が取れるものが多くなっています。
東京都環境局のリーフレットによれば、蛍光灯シーリングライトをLEDシーリングライトに変えるだけで電気代が約半分になります(出典:東京都環境局「夏の省エネ対策リーフレット(2025年度版)」)。寿命は約6.7倍に延びます。変える手間はかかりますが、長期的に見ると大きな節電効果が期待できます。
冷蔵庫は、次のNG行動をやめると電力消費を抑えられます。
また、10年以上前の冷蔵庫を使っている場合は、思い切って買い替えると節電になります。筆者が2014年製と2024年製の冷蔵庫の消費電力を比較したところ、2024年製の方が年間で2000円〜4000円程度電気代が安くなることが分かりました(出典:Fav-Log by ITmedia)。
液晶テレビの電気代は、画面サイズやテレビの種類によって異なりますが、1時間の視聴で2円〜15円程度です。有機ELテレビや4K/8K対応テレビなどの高画質モデル、また画面が大きいほど電気代は高くなります。
電気代を抑えるためには、画面の明るさを必要以上に上げないことがポイントです。明るさを少し下げるだけでも節電につながります。さらに、省エネモードが搭載されている場合は積極的に活用しましょう。最もシンプルで効果的な節電は「見ていない時は消す」ことです。
ドラム式洗濯乾燥機の電気代は、洗濯1回あたり2円程度、洗濯から乾燥までは20円〜50円程度かかります。洗濯乾燥機は特に乾燥時が多くの電力を消費します。夏場は乾きやすいので、乾燥機能はなるべく使わないようにするとよいでしょう。
乾燥機を使う場合は目安容量を守りましょう。容量以上の洗濯物を入れて乾燥させると、時間がかかって無駄に電力を消費します。洗濯物が多い場合は、部屋干しと併用して容量を減らすと乾燥時間を短縮できます。
食器洗い乾燥機の電気代は、1回あたり25円〜35円程度です。1日2回使用すると、1カ月の電気代は1500円〜2100円になります。少ない時は手洗いで済まし、なるべくまとめ洗いをして使用回数を減らすと節電になります。
また乾燥の工程が一番電気代がかかるので、乾燥機能は使わず、水切りラックで自然乾燥させるという方法もあります。
炊飯器の電気代は、IH・3合以上5.5合未満の場合で、炊飯1回あたり約3円〜5円、保温時は1時間あたり約0.4円〜0.6円です。1日1回使用すると、1カ月の電気代は120円〜180円になります。
長時間の保温は電力の無駄になるだけでなく、味も落ちるので、タイマーを使って食べる時間に合わせて炊きあがるようにするとよいでしょう。また、炊き上がったらすぐに電気を切って、残った分は冷凍保存にするとさらに節電できます。
ここまで、エアコン以外の家電の節電方法をお伝えしましたが、夏場はやはりエアコンが電力使用の多くを占めます。とはいえ、昨今の猛暑ではエアコンを使わないわけにはいきません。そこで、エアコンを正しく使って節電につなげる方法を最後に紹介します。
経済産業省資源エネルギー庁のサイトによると、フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合の比較で、掃除した場合には年間で約990円の電気代が節約できるとされています(出典:省エネポータルサイト)。
室外機に直射日光が当たっていると、冷房効率が低下します。できるだけ日陰に設置するか、よしずを立てかけるなどして日陰を作るとよいでしょう。その際は、室外機の吹き出し口をふさがないように気を付けましょう。
風量を自動にしておくと、設定温度になるまでは強風、設定温度に達した後は微風になり、効率が良い運転をしてくれます。また、温かい空気は上に、冷たい空気は下に行く性質があるので、風向を水平にすることで部屋全体を効率よく冷やすことができます。
部屋が暑くなってきた時には、設定温度を下げるよりも風量を強くした方が消費電力を抑えられます。人の体感温度は室温だけでなく、湿度や気流によっても変化するので、風量を強くすることでも涼しく感じることができます(参考:ダイキン工業「mission9 エアコン冷房で誤解の多い4つの節電術を検証せよ!」)。
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