工事不要で手軽に使える「スポットクーラー」が人気です。部屋の一角だけを涼しくしたいときや、エアコンを設置できない洗面所などで、持ち運びができる小型のクーラーとして便利に使うことができます。とはいえ、気になるのは電気代です。
ルームエアコンと比べてどのくらい電気代がかかるのか、1日使用した場合の電気代を比較しました。さらに、電気代の節約のコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
スポットクーラーとは、持ち運びができる小型のエアコンのことです。一般的なルームエアコンは、室内機と室外機があり、設置には工事が必要です。一方スポットクーラーは、室外機がない一体型で、家庭用コンセントで使えるため工事不要で場所を選ばず利用できます。
スポットクーラーの冷却の仕組みは、ルームエアコンと同じなので、冷風と同時に排気口から熱風が出ます。そのため、熱風を排出するパイプである「ダクト」を使って排熱する必要があります。
ダクトがなく、排気口から熱風が直接排出されるタイプでは、閉め切った部屋で稼働させると部屋全体の温度が上昇してしまいます。
スポットクーラーは広い空間を冷やすのには適していませんが、風が当たる狭いエリアを効率よく涼しくできます。ルームエアコンが設置できない部屋や、特定の場所だけを冷やしたいときに便利です。
次に、3つのスポットクーラーの消費電力をもとに電気代を試算してみます。
スポットクーラーの1時間あたりの電気代は18.3円〜24.2円、1日(8時間)あたりの電気代は146.4円〜193.6円、1カ月(8時間×30日間)あたりの電気代は4392円〜5808円となりました。
次に、ルームエアコンの電気代と比較してみましょう。スポットクーラーとほぼ同じ冷房能力である2.2kWのダイキンのエアコン(S225ATES-W)を参考にします(参考:ダイキン工業「Eシリーズ 仕様(スペック)」)。
1時間あたりの電気代は18円となります。ただし、ルームエアコンはつけ始めが一番電力を消費し、設定温度に達した後は消費電力が小さくなります。そのため、長時間稼働させた場合の電気代は、単純に1時間あたりの電気代に時間数をかける方法では正確な電気代になりません。
そこで、冷房時期の期間合計の消費電力量をもとに、1日あたり、1カ月あたりの電気代を出してみます。
JIS規格に基づいた冷房期間は5月23日〜10月4日の135日となり、1日にすると1563Whになります。JIS規格では1日18時間で計算されているため、1日8時間に換算すると1日あたり695Wとなります。
これをもとに1カ月の電気代も求めます。冷房時期間合計をもとに計算した場合の電気代は、1時間あたり2.7円、1日(8時間)あたり21.5円、1カ月(8時間×30日間)あたり646円となりました(参考:一般社団法人 日本冷凍空調工業会)。
ルームエアコンの機種や性能、外気温などの条件によって電気代は異なってきますが、スポットクーラーと比べて電気代が安いことが分かります。
スポットクーラーはルームエアコンよりも電気代がかかるため、効率のよい使い方をして電気代を抑えることを意識しましょう。
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