Appleは9月10日早朝(日本時間)、iPhoneの新モデルを発表しました。なかでも完全な新シリーズとなる「iPhone Air(アイフォーン エア)」は、シリーズ史上最薄のスリムなボディーを実現しており、従来のシリーズとはコンセプトの異なる選択肢となりました。
ここでは「iPhone Air」について5つのポイントをチェックしていきます。
井上晃
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
iPhone Airは“Air(エア)”の名を冠する通り、iPhone史上最薄となるスリムなボディーを実現したモデルです。しかし、仕様の数値を比べると、従来世代のスタンダードモデルと具体的にどの程度の違いがあるのでしょうか。
実際に、仕様表を確認してみると、そのサイズは74.7(幅)×156.2(高さ)×5.64(厚さ)mmで、重さは165g。昨年発売された「iPhone 16」が71.6(幅)×147.6(高さ)×7.8(厚さ)、重さ170gだったので、iPhone Airは従来のiPhoneシリーズよりも、ひと回り大きく、ひと回り軽い端末であることがわかります。
これだけ薄いとなると、気になるのはその強度。「何かの拍子にパキッと曲がってしまうのではないか……」と不安になるのは当然です。しかし、Appleの解説では、iPhone Airのボディーには、チタニウム製のフレームが使われており、強度面での不安がないことが強調されていました。
ちなみに、チタニウムには、構成元素の割合でグレードが定められており、iPhone Airに採用されているのは「グレード5」というカテゴリに分類されるチタン合金。腕時計などに使われることが多い素材です。
その表面は光沢のある鏡面仕上げになっており「スペースブラック」「クラウドホワイト」「ライトゴールド」「スカイブルー」の4色が用意されています。
さらに、ディスプレイ面には、従来世代の3倍の耐擦傷性能を持つ「Ceramic Shield 2」を採用したうえで、画面の反射防止性能を向上させた独自のコーティングも施されています。背面ガラスにもCeramic Shieldが採用されており、耐亀裂性能は従来世代のiPhoneの4倍になっているとのことです。
そのほか、側面にはアクションボタンも備えており、Apple Intelligence対応機種で使える「ビジュアルインテリジェンス」などの機能もしっかりサポートされていることを押さえておきましょう。
iPhone Airのディスプレイサイズは6.5インチで、スタンダードモデルの6.1インチとPlusモデルの6.7インチの中間に位置します。インカメラに関しては、画面上部に横長のパンチホール型で配置され、UIと連動する「Dynamic Island」が採用されています。
常時表示や「ProMotionテクノロジー」に対応しており、画面のリフレッシュレートが最大120Hzかつ、最小1Hzに対応していることなどは、今回発表された「iPhone 17/17 Pro」世代で共通している特徴です。
特にリフレッシュレートが120Hzに対応していることは、ゲームプレイ以外のシーンでも、ブラウジング中に素早く画面をスクロールしても残像感が少なくなるので、コンテンツを消費する用途でも6.5インチという大画面を生かしやすそうです。
画面輝度に関しては、屋外におけるピーク輝度が最大3000ニトに対応しており、直射日光化での視認性が担保されていることなども大画面を生かしやすいポイントです。
iPhone Airは薄型のデザインを追求したモデルのため、背面カメラの数については、薄さとトレードオフとなっています。
背面カメラは、4800万画素のメインカメラのみを搭載するというシンプルな構成に。ただし、Appleが「Fusionメインカメラ」うたう機能を搭載し、イメージセンサーの中央部のみを活用することで、解像感を保ったままで、光学2倍相当の望遠撮影を行えます。
この機能はここ数年で他のモデルにも採用されてきたので、シリーズのアップデートをチェックしてきた人にとっては既に珍しくはないでしょう。
カメラ関連の機能としては、撮影後に写真にポートレートモードで撮影した効果を適用することができたり、「ブライト」スタイルを含む最新世代のフォトグラフスタイルを適用できたりとシリーズの基本的な部分は抑えています。
また動画に関しては「アクションモード」や4K60fpsでのドルビービジョン、空間オーディオ、風切り音の低減などの機能も使用可能です。
前面カメラについては「センターフレームフロントカメラ」という名称が使われています。こちらは、1800万画素の正方形のセンサーを採用し、縦持ちのままで横長アスペクト比の写真撮影ができることが特徴です。
ちなみに、この機能は、iPhone 17/17 Proも搭載しているので、iPhone Airだけのユニークな機能ではありません。
通信関連機能のアップデートがあったことも、今回の新モデルの特徴です。
特に物理SIMが使えなくなり、eSIMのみ使えるようになったことは多くのユーザーに影響する重大な変化だと言えるでしょう。
これまで物理SIMを使っていた場合には、eSIMへの変換作業が必要になるので、利用キャリアに合わせた必要な手順リサーチする必要があるかもしれません。
一応、SIMについて補足しておくと、SIM(シム)カードとは、電話番号などの情報が記録されたICカードのことです。現在の主流は「nanoSIM(ナノシム)」という小さいサイズのカードで、通信プランを契約した際に、携帯電話会社からこのnanoSIMが渡されます。これをスマートフォンの側面などにある専用スロットにセットして必要な設定手順を実施することで、通信プランを利用できる状態になるという仕組みです。
一方、eSIM(イーシム:Embedded SIM)は、このSIMカードが端末側に組み込まれており、カードの抜き差しをせずに端末上の操作でソフトウェア処理を実行することで、通信プラン情報を書き込む仕組みになっています。
その他の通信の仕様面に関しては、Appleが設計したワイヤレスネットワークチップ「N1」を搭載し、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Threadが使えることや、Appleによるモバイル通信モデム「C1X」を搭載し、省電力製を上げながらダウンロード速度を高めていることなどがトピックです。
iPhone Airは、プロセッサーに上位モデルの「iPhone 17 Pro」と同様の「A19 Pro」を搭載しています。しかし、コア数は、CPUが6コア、GPUが5コア、Neural Engineが16コアで、GPUのみProシリーズの6コアより1コア少ない、といった差はあります。
一方、前世代モデルと比較すると、GPU演算能力は最大3倍になるとされ、AAAタイトルのゲームプレイにもしっかり対応。オンデバイスの生成AI機能の活用もスムーズに行えるとうたっており、処理性能は上位モデルに匹敵するレベルにあると言えそうです。
iPhone AirのApple Storeオンラインでの価格は15万9800円(税込、以下同)〜。ストレージ容量は、256GB、512GB、1TBから選択可能です。
スタンダードモデル「iPhone 17」の12万9800円〜と比べると、ひと回り高額な価格設定となっています。
iPhone Airは、9月12日の午後9時から予約注文が開始され、9月19日(金)に発売されます。背面カメラにこだわりがなければ、新しさを感じられる一台として注目です。
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