9月に入り、猛暑日は減ってきましたが、日中は暑さを感じることも。エアコンを真夏と同じように使っている人もいると思いますが、昼夜の寒暖差が大きくなってくる秋は、エアコンの設定温度を見直した方が良いケースがあります。
そこでこの記事では、これからの季節のエアコンの使い方や節電方法などをFPの視点で解説します。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
環境省では、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すために、室温を夏季28度、冬季20度とすることを推奨しています(参考:環境省)。ただし、これは室温であって設定温度ではありません。エアコンの効きやその日の気温などによって、設定温度を28度にしても室温がそれにならないこともあります。
室温はエアコンの風が直接当たらない場所に設置した温度計で確認し、これに合わせて設定温度を決めるとよいでしょう。
また、夏場は室温が28度では暑いと感じる場合がありますが、秋はちょうど良く感じることも。これは湿度によって体感温度が変わるためです。湿度が20%違うと、体感温度は4度違うと言われています。
夏に比べて秋は湿度が低くなるので、同じ気温でも過ごしやすく感じることがあります。
そのため、夏の感覚で設定温度を下げてしまうと、部屋を冷やし過ぎてしまうことがあるので、湿度も気にして設定温度を調整するとよいでしょう。人が快適に感じる湿度は40〜60%とされています(参考:ダイキン工業「熱中症の困りごとと解決法」)。湿度が適切であれば、夏場の設定温度より1度上げても涼しく感じる場合があります。
設定温度を1度上げると約13%節電になるというデータもあるので、節約にもつながります。
日中は暑いのに夕方以降は急に冷え込むなど、秋は一日の寒暖差が大きくなります。そのためエアコンの調整に悩む人も多いでしょう。
温度や風量を頻繁に変えたり、電源のオン/オフを繰り返したりするのは、手間に加えて電気代の無駄にもなりかねません。このような外気温が変わりやすい秋口は、「自動運転機能」を使うのがおすすめです。
エアコンには温度や湿度などを検知するセンサーが搭載されており、室内の空気環境をチェックして最適な温度や湿度、風量に自動調整するのが自動運転機能です。最近のモデルはセンサーの精度が高くなっており、日当たりの変化や人の在・不在、人の活動量まで検知できるものもあります。
さらにAIが搭載されたモデルでは、センサー情報や運転履歴を学習して、その家での最適な運転を行ってくれるなど、自動運転は年々進化しています。
自動運転は短時間で室内を快適にし、冷やし過ぎや暖め過ぎをなくすため、節電につながります。これからの季節は、夕方から急に気温が下がることがあるので、外気温を検知して調節してくれる自動運転なら、無駄な電力消費を抑えられます。
秋になり気温が下がると、エアコンを使う時間も少しずつ減っていきます。この時期は、次の暖房シーズンに備えてメンテナンスをしておきたい時期でもあります。夏に酷使したエアコン内部には、冷房運転中に発生した結露が残りやすく、その湿気がカビの繁殖を招く原因となります。
エアコンには、水分が溜まった内部を乾燥させるために、「内部クリーン機能」というものが搭載されています。内部クリーン機能がない機種の場合は、「送風運転」で内部を乾燥させることができます。
内部クリーン機能をオンにしておくと、冷房を切った後に内部クリーン運転が始まります。ただ、電源が切れていないと勘違いして、再度「切」ボタンを押して内部クリーン運転を止めてしまうケースがよくあります。
また機能を知っていても、電気代を気にして内部クリーン運転を使わない人もいます。内部クリーン運転は、熱交換器や室外機を動かさず、内部のファンだけを動かすため、電気代はわずかです(扇風機と変わりません)。
内部クリーン運転を使わずにカビを発生させるデメリットの方が大きいので、電気代は気にせずに使うようにしましょう。
最後に、エアコンをより効率的に使うための方法を3つお伝えします。
エアコンのフィルターが目詰まりしていると冷暖房の効果が下がり、無駄に電力を消費します。フィルターをきれいに掃除すれば、冷房時で4%、暖房時で6%の消費電力の削減になります。
空気は暖かいと上に、冷たいと下に行く性質があるため、エアコンだけでは部屋に温度ムラができてしまうことがあります。
その結果、なかなか設定温度に届かず余計にエアコンが働いてしまうことも。サーキュレーターや扇風機で空気を循環させれば、室内の温度が均一になり冷暖房の効率も高まります。
カーテンやブラインドは、夏は窓からの日差しを遮り、室内の冷気が逃げるのを防ぎます。冬は室内の暖気を閉じ込め、外気が入るのを防ぐ効果が期待できます。外出時は昼間でもカーテンを閉めておくことで、外気温の影響を受けにくくすることができます。
秋が深まるにつれてエアコンの使用頻度は減り、湿度も夏より下がってきます。そんな季節の変化に合わせて設定温度を見直し、自動運転機能や内部クリーン機能を取り入れることで、快適さを保ちながら節電にもつなげていくことができます。
今や生活に欠かせないエアコン。上手に活用していきましょう。
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