9月〜10月にかけては、秋雨前線や台風の影響で雨の日が増え、洗濯物を乾かすのに乾燥機を使うご家庭も多いでしょう。今回は、洗濯物を乾かす主な家電である「洗濯乾燥機」と「衣類乾燥除湿機」のどちらを使った方が経済的なのか、それぞれの電気代を比較してみました。
さらに電気代だけでは分からないメリット・デメリットも紹介するので、自身のライフスタイルに合った選択をしてみてください。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
まずは、それぞれの家電の特徴を見てみましょう。
洗濯乾燥機は、洗濯から乾燥までノンストップで行える便利な家電です。洗濯乾燥機には主に「縦型ヒーター式」「ドラム型ヒーター式」「ドラム型ヒートポンプ式」の3つがありますが、ここでは、洗濯乾燥機の主流となってきている「ドラム型ヒートポンプ式」を取り上げて比較します。
「ヒートポンプ式」は「ヒーター式」よりも電気代が抑えられるのが特徴です。
洗濯乾燥機は、洗濯物を取り出して干す手間が不要なことが何よりのメリットです。共働きなどで家事に時間を割きにくい家庭にとって、大きな助けとなります。
ドラムの回転により動く洗濯物の間に温風を送ることで乾かすため、シワになりやすい、衣類が痛みやすいというデメリットがあります。
衣類乾燥除湿機は除湿機の一種で、衣類を乾燥させる機能が付いたものです。部屋干しの際に、衣類の近くに設置して風を送ることで、効率よく乾かします。また部屋干しのニオイを抑制したり、衣類を除菌したりする機能が付いているものもあります。
衣類乾燥除湿機は、ハンガーなどに吊るして乾かすので、衣類がシワになりにくい、型崩れしにくいなどのメリットがあります。また、空気中の湿気を取り除くため、結露やカビの発生を抑制して部屋を快適にする効果もあります。
洗濯物を干す手間が発生します。また、部屋干しのために部屋の一角を占拠するのが生活スタイルとしてストレスになる場合もあるでしょう。
どちらを使った方が経済的なのか、「洗濯乾燥機」と「衣類乾燥除湿機」の電気代を比較してみましょう。
洗濯・脱水容量12kg、乾燥容量6kgのパナソニック「ななめドラム洗濯乾燥機」を例にします。
製品仕様によると、洗濯乾燥時の消費電力量は800Whとなっています。ここには洗濯時の消費電力量68Whも含まれているので、これを引いて乾燥のみの消費電力量を求めると732Whとなります(参考:パナソニック)。
電気代は次の式で求めます。
乾燥1回あたりの電気代は22.7円となりました。
衣類乾燥除湿機は、同じくパナソニックの「エコ・ハイブリッド方式衣類乾燥除湿機」を例にします。
製品仕様にある1回あたりの電気代の目安を見ると、9.9円(乾燥時間90分)となっています(参考:パナソニック)。
洗濯乾燥機の1回あたりの電気代は22.7円、衣類乾燥除湿機の1回あたりの電気代は9.9円となりました。その差は12.8円です。衣類乾燥除湿機の方が経済的であることが分かりました。
洗濯乾燥機で乾燥させると、衣類乾燥除湿機の2倍以上(約2.3倍)の電気代がかかることが分かりました。しかし、電気代の差だけで判断して、すぐに衣類乾燥除湿機に切り替えるのが最適とは限りません。
前述したように、それぞれメリット・デメリットがあるため、その人のライフスタイルに合った使い方ができないと、満足度は下がってしまいます。
共働きなら、光熱費の節約よりも時短を優先した方が満足度は高くなると思います。洗濯乾燥機は干す時間と手間が省けるので、家事の効率化に大きく貢献する家電です。
また、洗濯物の種類も関係してくるでしょう。ワイシャツやブラウスなど、シワが気になる衣類の割合が多い場合は、ハンガーに吊るして乾燥させる衣類乾燥除湿機が適しています。
どちらの乾燥機を選んでも、休日や時間がある時は天日干しにして、雨の日や時間がない時、夜にしか洗濯ができない時は乾燥機を使うといった使い分けをすれば、電気代はそれほど気にする必要はないでしょう。
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