Exchange 2000徹底解剖
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変貌するExchange 2000
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Windows 2000 Advanced ServerおよびWindows 2000 Datacenter Serverで使用できるクラスタには,「サーバークラスタ」と「ネットワーク負荷分散クラスタ」の2種類がある。
サーバークラスタとは,複数のノード(コンピュータ)を1台のサーバーであるかのように動作させ,万一障害が起こっても,必ずクラスタ内のノードが1つは起動するようにしている構成のことである。このような構成を採用することで,クライアントは常時そのリソースを利用できる。
Exchange Server 5.5では,Windows NT Server 4.0, Enterprise Editionの機能を利用して,1つのクラスタを2ノードで構成し,そのうちの1ノードだけがすべてのリソースを使用してActiveに動作するという仕様であった。他方のノードはアイドル状態で待機しており,Activeノードに障害が起こると自動的に起動する。その結果,クライアントは常にExchange Server 5.5のリソースにアクセスし続けることができる。
確かに,Exchange Server 5.5のクラスタを利用すれば,ユーザーは常に1つのノードを利用できるようになり,クラスタを構成していない場合に比べれば耐障害性は向上する。しかし,このような仕様では,Activeノードと同じように構成されたコンピュータが常にアイドル状態で休眠していることになり,無駄が多い。
そこでExchange 2000 Enterprise Serverでは,「Active/Activeクラスタ」と呼ばれる機能をサポートしている。Active/Activeクラスタの場合,クラスタを構成しているノードのすべてが常時(障害時を除く)稼働し, Exchange 2000 Enterprise Serverのサービスを提供する。そのため,単に耐障害性が向上するだけではなく,平常運用時の負荷も分散され,より高いパフォーマンスが発揮されるようになる。
Windows 2000の場合,Windows 2000 Advanced Serverを使用することにより最高2ノードで, Windows 2000 Datacenter Serverを使用することにより最高4ノードで,それぞれクラスタを構成できる。
ここで,先述したストレージグループの話を振り返ってほしい。ストレージグループの説明のなかで,「クラスタ構成を採用するときには,ストレージグループの上限である4個を使い切ってはならない」と説明した。その理由は,クラスタ構成における障害時の処理がストレージグループごとに実施される点にある。たとえば,4ノードでクラスタを構成している場合であれば,以下のように通常は3つのストレージグループを使用し,障害が発生した1ノードを代用するために1ストレージグループ分を空けておく必要がある。
Fig.1-13 クラスタ構成を採用する場合のストレージグループ(図版をクリックすると拡大可能)
もう1つのネットワーク負荷分散クラスタとは,最大32台のサーバーを1つのクラスタとして結合させることで,TCP/IPベースのサービスやアプリケーションをネットワークレベルでロードバランス(Network Load Balancing:NLB)させる機能である。Exchange 2000 Enterprise Serverの環境では,次に述べる「フロントエンド/バックエンド構成」を採用した場合のフロントエンドサーバーに,このクラスタ構成を採用するとよいだろう。
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