Exchange 2000徹底解剖
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変貌するExchange 2000
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Exchange 2000で注目すべき新機能の1つに,Web Storage Systemがある。Web Storage Systemとは,次の3つの機能を1つに統合したテクノロジである。
- メッセージや連絡先,予定帳などを統合管理するコラボレーション機能
- Microsoft Officeのドキュメントファイルだけではなく,オーディオやビデオといったストリーミングデータなどもファイルとして格納するファイルシステム機能
- 不定形なデータを格納し,各種イベントをフックしてメッセージをやり取りするアプリケーション構築基盤としてのデータベース機能
Fig.1-16 Web Storage Systemの概念図
つまりWeb Storage Systemとは,メッセージやOfficeドキュメント,ビデオやオーディオデータといったあらゆる情報を格納し,必要に応じてそれらを検索し,格納されている情報をあらゆる手段で取り出せる,とても便利な玉手箱である。メッセージ,連絡先,個人の予定,パブリックフォルダを利用した共有情報などは,すべてExchange 2000のインフォメーションストアに保存される。Exchange 2000のインフォメーションストアは,Exchange Server 5.5と同様にPrivとPubという名前のファイルで提供され,データベースエンジンとしてESE(Extensible Storage Engine)を採用している。Exchange Server 5.5までであれば,インフォメーションストアにアクセスできるクライアントは,Outlook Web Access(OWA)を利用したWebブラウザやOutlookに限られていた。しかし,Exchange 2000では,新たにIFS(Installable File System)を搭載したことにより,Exchange 2000のデータベース全体がM:ドライブに割り当てられるようになった(もしもM:ドライブがすでに使用されている場合には,次のN:ドライブ,それが駄目ならば次のO:ドライブ,……という具合に割り当てを試みる)。つまり,Exchange 2000のデータベースそのものを,1つのファイルシステムとして利用できるようになったのである。
その結果,M:ドライブ以下のフォルダを組織内で共有すれば,ユーザーはWindowsエクスプローラから共有フォルダと同じインタフェースでインフォメーションストアにアクセスできるようになる。つまり,従来であれば,「ファイルの読み書きはWindowsエクスプローラ,メッセージの読み書きはOutlook」などと使い分けなければならなかったものが,IFSを利用すればデータの種類ごとにクライアントアプリケーションを切り替える必要がなくなる。そのうえ,インフォメーションストア上に集積されたファイル群に対しては,Exchange 2000の高度な検索機能を使って検索をかけたり,外部アプリケーションから任意のAPI(Application Programming Interface)を通じてアクセスしたりすることが可能になる。その結果,インフォメーションストア(ユーザーからみれば単なるファイルサーバー)に集積されたデータを様々な手法で管理・検索したり,任意のワークフローアプリケーションや業務システムから二次利用したりすることができる。ユーザーの慣れ親しんだ使い勝手を大きく変更することなく,知識の共有と再利用を促進する――これは,ナレッジマネジメントの目指すべき1つの到達点といえる。
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