インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門

ネットワーク機器の付加機能

 「ネットワーク機器の種類」では,基本的な通信機能でネットワーク機器を大別し,その概要を解説した。しかし,昨今のネットワーク機器には,基本的な通信機能に加えて,さまざまな付加機能が搭載されており,ネットワーク機器を選出するうえではこれらの付加機能が重要なポイントとなっている。そこでここでは,ネットワーク機器を選出するうえで,押さえておきたい付加機能を紹介する。

Full Duplex

 Full Duplexとは,2つのノード間で同時にデータを送受信できる方式であり,「同時送受信方式」または「全二重方式」とも呼ばれている。たとえば,Full Duplexのネットワーク機器にノードAとノードBが接続されているとすると,ノードAがノードBに送信しているあいだでも,ノードBからノードAへの通信が可能になる。

 Full Duplexに対応していないネットワーク機器は,Half Duplexと呼ばれている。Half Duplexは,2つのノード間でデータを交互に伝送することで双方向の伝送を実現する方式であり,「半二重方式」とも呼ばれている。たとえば,Half Duplexのネットワーク機器にノードAとノードBが接続されているとすると,ノードAが送信しているあいだは,ノードBが受信専用となり,双方が同時にデータを送出することはできない。

 なお,1000BASE-SXなど,光ファイバケーブル用いるネットワーク機器はFull Duplexのみであり,Half Duplexは存在しない。

AutoNego

 10BASE-Tと100BASE-TXの両方をサポートするポートがあるとしよう。このとき,そのポートに対する接続パターンには,10BASE-T/Full-Duplex,10BASE-T/Half-Duplex,100BASE-TX/Full-Duplex,100BASE-TX/Half-Duplexという4つが考えられる。AutoNegoとは,これらの接続パターンをネットワーク機器が自動的に認識して決定する機能である。

AutoNegoにご用心

 AutoNegoの機能は,接続されている双方のポートがAutoNegoに対応しているときにだけ正しく動作する。たとえば,接続されている一方のポートをAutoNegoとし,一方を手作業で設定した場合,AutoNego側では通信速度を正確に決定することはできるが,Full DuplexであるかHalf Duplexであるかを判断することができない。そのためAutoNego側では,Half Duplexを選択してしまう。このとき,手作業で設定したポートがFull Duplexであれば,一方がHalf Duplex,他方がFull Duplexとなってしまう。

 この問題の難しい点は,設定が間違っているにもかかわらず,通信は一見正常に実行されることである。勿論,Full Duplex側は,自分が受信中でも送信を試み,エラーとなっているのだが,再送信を試みるうちにいずれは受信に成功するため,通信は正常に実行されたことになる。この現象は,ネットワークトラフィック(ネットワーク中のデータ疎通量)が低い時点は露見しにくい。ネットワークトラフィックが高くなった時点で,忽然と通信できなくなり,露見するのである。しかも,露見した段階では見当をつけづらい(ついさっきまでは正常に動作していたため,ネットワーク機器の設定不良を疑いづらい)ため,原因を特定するまでに多くの時間を要することになる。AutoNegoの設定には,十分注意していただきたい。

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