“全世帯で1分間シャワーを減らす”のと同じ効果のスイッチジュニパー、日本でのエンタープライズスイッチ市場戦略発表

» 2008年02月14日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ジュニパーネットワークスは2月14日、報道関係者向けの説明会を実施。1月29日に米国ニューヨークで発表した同社初のスイッチ製品「EXシリーズ」の日本における戦略を発表した。

 EXシリーズは、同社では初となるエンタープライズ向けのレイヤ3スイッチ製品。固定ポートを搭載したスタンドアロン機の「EX3200」、「バーチャルシャーシー」機能を搭載した「EX4200」、テラビット級のスループットを持つ上位機種「EX8200」の3機種で構成される。「EX3200」と「EX4200」は3月中旬から、「EX8200」は2008年後半からパートナーを通じて販売を開始する予定だ。日本における参考価格は「EX3200」が72万円、「EX4200」が114万円から。

 ジュニパーネットワークス 代表取締役 大須賀雅憲氏は、今回の製品について「当社はいままで、キャリア向けに信頼性の高いルータ製品と、ファイアウォールなどのセキュリティ関連サービスを提供してきた。今回のエンタープライズ向けスイッチ製品は、いままで欠けていたその間を埋める製品群だ」と説明。なぜ、買収戦略ではなく、内製にこだわったのかについては「いままで何度か『ジュニパーがエクスリーム・ネットワークスやファウンドリーネットワークスを買収してスイッチ市場に参入するのではないか?』と噂されてきた。それは半分合っていて、半分間違っている。買収によって、それらの会社のシェアを獲得できるのはメリットだが、やはりOSを統一するのに手間や時間がかかる。ジュニパーの強みはキャリアグレードの高信頼性を持つOS『JUNOS』だ。そのため、買収による市場参入ではなく、内製によってJUNOSを搭載した製品を投入した」とコメントした。

大須賀氏写真 ジュニパーネットワークス 代表取締役 大須賀雅憲氏

 大須賀氏は高信頼ネットワークに求められるものとして、「大容量トラフィックに対応できるために100イーサネット Readyなもの」「無停止でのデバイス交換」「主要部品の冗長化」「デバイスのノンストップルーティング」「無停止でのソフトウェアアップグレード」などを挙げ、これらを満たす機能を「EXシリーズ」に搭載したという。

 「EXシリーズ」は“グリーンIT”にもこだわっている。「EX4200」に搭載しているバーチャルシャーシー機能などを用いることで、省電力化を実現。ジュニパーネットワークス AT営業開発本部 本部長 短田聡志氏によると、「96ポート分のGbEを構築した場合、従来の方法だと1400W消費したが、バーチャルシャーシーを利用すれば640Wで済む。これを、『もし今後5年間の間、従来型スイッチ製品をEXシリーズに置き換えた』と仮定すると、5年間で約92.6万トンの二酸化炭素を削減できる。これは『日本の全世帯で毎日シャワーを1分間減らす』と年間90万トン二酸化炭素が削減できるので、これに匹敵する量だ」とコメント。EXシリーズの消費電力削減効果をアピールした。

 また、短田氏は価格面について「従来のボックス型の24ポートスイッチと比較して、3〜4割安く提供できる。6スロットのシャーシ型と比較すると、価格で約7割減だが、スループットは4倍だ。ただし、われわれはまだエンタープライズ市場での知名度が低いので、パートナープログラムを強化してコツコツとシェアを拡大していきたい」と説明した。

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