アセントネットワークスは5月27日、中小企業向けSaaSポータルサイト「Pepbiz.jp」をオープンし、サービスを開始した。OSS(オープンソース・ソフトウェア)の顧客管理やプロジェクト管理といったソリューションを提供する。
利用するソフトウェアはZimbra、SugarCRM、vTigerCRM、TinyERP、Supportsuite、Joomla、Vituemart、Dot Project、Dimdim、KnowledgeTreeの10製品。すべて日本語化してコンサルティング、ホスティングサービスを提供する。提供ソフトウェア数は今後も増やしていく予定で、2008年7月にはIP電話/FAX(PI-FAX)、人事管理(OrangeHRM)、リモートアクセス(UltraVNC)、広告サーバ(OpenX)など8ジャンルの製品を追加する。同ジャンルの商品でも複数のソフトウェアを提供していくことで「比較検討ができ、より自社に合った製品を選べる」ようにする(代表取締役社長 パク・セヨン氏)。また、ZimbraのようにOSS製品以外に商用版を提供するようなソフトウェアでは、商用版のホスティングも予定する。
今後はOSSだけでなく商用ソフトウェアについても追加を予定し、「なるべく多くのパートナーを取り入れて、一般的なオープンプラットフォームを目指したい」(パク氏)としている。また、社内にサーバを設置して運用したいというニーズに応えるコンサルティングサービスなども視野に入れているという。
導入初期設定費は無料。月額利用料は利用者規模や使用ディスク容量によって決まるが、ほとんどのソフトウェアで月額9800円から利用できる。支払いはVISAカードとマスターカードに対応する。日本語マニュアルと、Web会議ツールを使った約3時間の教育プログラムを無償で提供する。
初年度で顧客企業1000社、月額売上高2100万円を目指す。1社当たりの平均利用ソフトウェア数は2.1個程度を想定している。
Web上だけで完結するリセラープログラムも用意。中小のISP、法人向け代理店、個人のWebコンサルタントなどが簡単にオンラインでリセラーとして登録できるようにした。
データセンターは日本と米国の2カ所に用意。2008年7月7日には英語圏向けに「Pepbiz.com」のスタートも予定している。Pepbizは、もともと米国で2年前に創業したベンチャー企業で、日本市場ではアセントネットワークスと提携してサービスを展開する。年内にはヨーロッパ向けでも同様のサービスを立ち上げる。また今後は、中国やブラジルなどOSSへの関心が強く、市場規模が大きい国への事業展開も視野に入れているという。
米Pepbizのダニエル・コ氏によれば、世界的に見てもOSS製品をSaaSで提供するベンチャー企業は数社レベル。また10種以上の製品を一気に提供するPepbizのような形態は前例がないという。
コ氏は、SaaS市場で競合が多い英語圏市場よりも日本市場のほうが参入が容易と見る。ただ、Salesforce.comなど先行するSaaSプラットフォームの利用者の多くは大企業ユーザーであることから、中小企業向けや、大企業の部門単位での導入といった市場では勝機があると見ているという。「OSS製品の多くはSalesforce.comに比べて、コストや教育の面で導入が容易だ」(コ氏)。
アセントネットワークスは2006年1月設立。ソーシャルニュースサイト「choix.jp」、ミニブログ「Haru.fm」などB2C事業を中心に提供してきた。これまでにもミニブログに基づいたサイト構築などB2B事業も手がけてきたが、今回のSaaS事業参入でB2B事業を本格化する。
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