今回の実験で採用されたP2P技術は、米国のChainCast社が開発したものだ。米国では実際にこの技術を使ったローカルラジオ局も運用されており、実績のある技術といえる。
ただ、放送を視聴するには専用のプラグイン*5をインストールする必要がある。インストール作業自体は自動で行われるため初心者でも戸惑うことはないだろうが、通常のストリーミング放送のように“手間いらず ”で聴けるようにならないものだろうか。「視聴者のパソコンにも配信機能を持たせるため、現状ではプラグインのインストールは必須」(同氏)と理解を求める。
また、配信機能を持つということはパソコンのCPUへの負荷*6が心配されるが、園田氏は「配信中でも10〜20%増し程度の負荷で済む」と明かす。
実はP2P型ストリーミングの場合、CPUの負荷よりも考慮すべき問題がある。それは、視聴者の上り回線の帯域が確保されていなければならないという点。つまり、「子」のために放送を中継するのだから、たとえば300Kbpsの放送であれば、上り回線も300Kbps以上の帯域を必要とする。リンク速度の十分でないADSLでは、配信できない場合もある。ただ、その場合、自分の下に「子」をぶら下げることができないだけで、放送そのものは受信可能だ。
「子」に対して配信する場合、もう1つ問題がある。ブロードバンドルーター*7や会社などで導入されているファイアウォール*8を越えることができないという点だ。視聴するだけなら問題はないが、配信に協力して“P2Pの輪”に入りたければ、ルーター越えの設定を行う必要がある。この点に関して「ChainCast側でもこの問題は認識しており、解決に向けて検討している」(同氏)と説明する。