ICQなどのいわゆるインスタントメッセンジャー(以下IM)でのチャットは非常に楽しく、それ自体でぺらぺらとしゃべっている間はいいのだが、もしも今話している複数の相手がすべて同一人物だったら? あり得ない事態のように聞こえるはずだ。しかしながら、複数同時起動させる方法は、ICQやAIMを同時にいくつも起動させるツールなどを使えば簡単にできる。だから、IMを使って現在進行形でチャットしている複数の相手が実は同一の人物であるという可能性もあるわけだ。複数の異なる話題を同時に進行させることによって、1つの話題での注意力はかなり散漫になり、普段はしないようなミスや、普段は答えないような質問にでも思わず本当のことを書いて答えてしまう。
IMなどでのなりすましを見破るには、相手のIPアドレスを割り出せばよいわけだ。これはDOSコマンドの「netstat」で見ることができるし、自分の空いているポートを調査するソフトを使えば相手のIPアドレスを割り出すことが可能だ(ただし、IMの中には中央サーバをすべてのメッセージが経由するタイプも存在し、その場合には無効となる)。
チャットと同様に、個人ページなどでは必ずと言っていいほどBBS(掲示板)が存在している。個人のページを毎日更新して見に来てもらうというのは通常は非常に困難な作業だし、毎日更新するようなネタもそうそうあるわけではない。ある程度のリピーターを稼ごうと思ったらBBSはちょうどよいコンテンツとなるわけだ。自分が更新しなくとも勝手に書き込まれて更新されていくようなものだからだ。そしてほとんどのBBSはオープンであり、だれでも書き込むことができる。
しかしなぜかは分からないが、「自分たちの内輪のページの内輪のBBSだからだれも見ていないに違いない」などと勝手に思い込んでプライベートなことをガンガン書きまくっていることもある。また、情報を引き出すために伏線としてBBSを利用する場合もある。
通常は自作自演を防ぐためにIPアドレスやリモートホストを表示させたりするが、もしも最初から自作自演することを想定しているならば全く無意味だ。それこそ、最初から決まったプロクシを経由して書き込むことで全く別の「訪問者」になりきることも可能だ。
BBSで最初からなりすましをされて書き込まれるとどうしようもないが、それでもそのIPアドレスがプロクシであるかどうかは分かる。つまり、そのIPアドレスのホスト名を調べ、さらにそれでも分からなければ今度はそのIPアドレスの8080番や8021番などを使ってプロクシとして利用することができるかどうか調べてみるわけだ。ほとんどの場合、なりすますときに使うプロクシは外部に公開されているものなので、だれでも適切な設定をすれば利用できる。